1992 Fiscal Year Annual Research Report
MMR法を用いた未熟心筋の虚血時及び再潅流時の心筋エネルギー代謝の検討
Project/Area Number |
03454339
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
片山 治 近畿大学, 医学部, 講師 (90177402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 知 近畿大学, 医学部, 助手 (80232536)
北山 仁士 近畿大学, 医学部, 講師 (50224978)
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Keywords | 未熟心筋 / 虚血 / 再潅流 / 心筋保護 / NMR / 家兎 / ATP |
Research Abstract |
前年度に続き未熟心筋におけるcrystalloid及びblood cardioplegiaの投与回数とその効果を検討したところ、crystalloidでは投与回数が増えるほどその心筋保護効果が減少し、むしろ有害であると考えられた。これに対しbloodは成熟心同様投与回数が増えると良好な心筋保護作用を示すことが判明した。投与カリの濃度について検討を行ったところ、投与温度と密接な関係があることが判明した。次ぎにSODの効果について検討を行った。1)15分間虚血群:CrPは虚血15分後には測定不能レベルまで低下したが、再潅流後急速に回復し、再潅流15分ではSOD使用群で113±31.7%、非使用群で130±29%となり、虚血前値を上回り再潅流60分まで経過した。両群間に有意差はないものの、SOD非使用群で高い傾向を認めた。ATPは15分間の虚血によりSOD使用群、非使用群でそれぞれ58.7±10.2%、60.4±10.3%まで低下したが、再潅流によりほぼ同様の回復を示し、再潅流60分でそれぞれ76.7±15.5%、77.0±15.5%と良好な回復を認めた。この結果虚血15分ではSOD使用の有無にかかわらず各指標の回復は良好であった。2)30分虚血群:CrPはSOD使用群、非使用群とも同様の経過をとり、虚血前の値を上回った。ATPは30分の虚血によりSOD使用群、非使用群でそれぞれ34.5±11.6%、38.7±11.6%まで低下した。再潅流後両群とも回復を示したが、再潅流30分以後はSOD使用群が非使用群に比べ有意に良好であった(p<0.05)。3)45分虚血群:CrPの変化は他の虚血群と同様の変化を示した。ATPの回復はSOD使用の使用群、非使用群とも差はなく、再潅流60分においてそれぞれ39.7±8.2%、40.9±10.2%であった。4)60分虚血群:CrPの回復は前3群と比べ同様の経過を示したが、ATPの回復は不良であり、再潅流60分においてもSOD使用群、非使用群でそれぞれ27.0±7.2%、33.4±8.2%であった。以上からSODは全ての程度の虚血再潅流において効果を示すものではなく、ある条件下においてのみ有効であることが判明した。
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