1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454415
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
猪俣 孟 九州大学, 医学部, 教授 (30038674)
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Keywords | フォークト・小柳・原田病 / クラス2抗原 / 免疫組織化学 / ぶどう膜炎 / HLA-DR抗原 / 角膜後面沈着物 / 視細胞間結合蛋白 / 細胞間接着分子 |
Research Abstract |
本研究はフォークト・小柳・原田病の病因と発症機序について、免疫組織化学などの技術を駆使して、臨床および実験病理学的に明かにし、本症の予防および治療法の確立に寄与することを目的としたものである。 1)フォークト・小柳・原田病患者の皮膚白斑部を病理学的および免疫組織化学的に検討し、下記の点を明かにした。 皮膚白斑部では、上皮ではメラニン顆粒が減少し、皮下組織の汗腺、毛包、血管の周囲にリンパ球が浸潤していた。リンバ球の多くは抗T-Cell抗体陽性で、CD4陽性細胞とCD8陽性細胞の比は約3:1であった。血管内皮細胞、毛包、上皮に浸潤したいずれのリンパ球もクラスII(HLA-DR)抗原陽性であった。したがって、皮膚白斑部に浸潤したリンパ球は活性化されたhleper/inducer T-Cellである。これはフォークト・小柳・原田病患者のぶどう膜に浸潤したリンパ球サブセットとほぼ同様の結果を示すものである。皮膚の白斑でも活性化Tリンパ球がその病変形成に重要な役割を演じているとことがわかった。 2)視細胞間結合蛋白(IRBP)を構成するペプタイドの一部(R4)をラット足蹠に注射して、実験的自己免疫ぶどう膜炎モデルを作成した。このモデルを用いて、実験的ぶどう膜炎の免疫組織化学的検討を行い、下記の点を明かにした。 実験的ぶどう膜炎では、虹彩、毛様体、前房に炎症細胞浸潤がおこり、角膜内皮細胞には角膜後面沈着物が付着していた。沈着物が付着していた角膜内皮細胞表面には細胞間接着分子(Intercellular Adhesion Molecule 1:ICAM 1)が発現していた。ICAM 1の発現は炎症11日目からみられ、14日目がもっとも著明で、以後徐々に減少し、18日目にはほぼ完全に消失した。この結果から、ぶどう膜炎で高頻度に観察される角膜後面沈着物は角膜内皮細胞に発現するICAM 1によって調節されていることがわかった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 猪俣 孟: "血管新生" 臨床眼科. 46. 406-407 (1992)
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[Publications] Murata T: "Immunohistochemical detection of extravasated fibrinogen(fibrin)in human diabetic retina." Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology. 230. 428-431 (1992)
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[Publications] Sakamoto T: "Goniodysgenesis of the eye with arthrogryposis multiplex congenita." Ophthalmologica. 204. 210-214 (1992)
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[Publications] 猪俣 孟: "サルコイドーシス" 臨床眼科. 46. 1406-1407 (1992)
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[Publications] Murata T: "A case of amniotic band syndrome with bilateral epibulbar choristoma." British Journal of Ophthalmology. 76. 685-687 (1992)
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[Publications] He W: "A reassessment of histologic classification and an immunohistochemical study of 88 retinoblastoma." Cancer. 70. 2901-2908 (1992)
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[Publications] 猪俣 孟(分担執筆): "標準眼科学第5版" 医学書院, 288 (1992)
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[Publications] 猪俣 孟: "網膜疾患 コンパクト眼科学2" 金原出版, 262 (1993)