1991 Fiscal Year Annual Research Report
情報伝達におけるGTP結合蛋白の役割に関する卵母細胞を用いた分子神経生物学的研究
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03454492
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 公道 京都大学, 薬学部, 教授 (80025709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 周司 京都大学, 薬学部, 助手 (60177516)
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Keywords | ムスカリンレセプタ- / セロトニンレセプタ- / GTP結合タンパク / ホスホリパ-ゼC / アフリカツメガエル卵母細胞 / 細胞内情報伝達 / アンチセンスDNA / ラット脳 |
Research Abstract |
ラット脳mRNAを注入したアフリカツメガエル卵母細胞に発現するイノシト-ルリン脂質代謝連関型レセプタ-が直接共役するGTP結合蛋白(G蛋白)のサブタイプを調べる目的で、G蛋白αサブユニットmRNAに相補的なアンチセンスDNAを設計、合成し、ラット脳mRNAとともに卵母細胞に注入して細胞応答への影響を評価した。ラットGi_1αに対するアンチセンスDNAは50ngの脳mRNAを注入した卵母細胞のムスカリン性アセチルコリン応答を用量依存的に最大で対照群の20%の振幅にまで抑制したが、セロトニン応答はまったく抑制しなかった。一方、ラットGoαに対するアンチセンスDNAはむしろアセチルコリン応答よりもセロトニン1C型レセプタ-を介するセロトニン応答をより強く抑制した。細胞膜に発現するG蛋白量や加水分解抵抗性GTPアナログの細胞内注入が惹起する振動性電流応答は、両方のG蛋白アンチセンスDNAによって同程度に抑制され、それらの抑制効果は相加的であった。以上の結果から、これら2つのレセプタ-は共通のイノシト-ルリン脂質代謝経路を活性化するが、5ーHT_<1C>レセプタ-の機能はGi_1αではなくGoαによって媒介されており、対照的にラット脳mRNA由来のムスカリン性レセプタ-はホスホリパ-ゼCを活性化するにはむしろGoαよりもGi_1αと共役してシグナルを伝えていると考えられる。
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