1992 Fiscal Year Annual Research Report
エイズウイルス抗コアタンパク質単クローン抗体の調製及び診断への応用
Project/Area Number |
03454494
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
古石 和親 熊本大学, 薬学部, 助手 (40238663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 崇行 熊本大学, 薬学部, 助教授 (90150549)
庄司 省三 熊本大学, 薬学部, 教授 (60040317)
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Keywords | ミリストイル化 / エイズ / HIV-1 / p17^<8α8> / Pr55^<8α8> / N-Myr-Gly |
Research Abstract |
1982年にN-ミリストイル化が始めて発見されて以来,種々の細胞内機能性タンパク質,癌遺伝子産物,ウイルス構成タンパク質等のN-ミリストイル化が報告されている。 現在,N-ミリストイル化がタンパク質の膜への結合様式の一つとして広くしられるようになったが,その生物学的意義の詳細はまだ解明されていない。申請者はエイズウイルスにおけるN-ミリストイル基の役割を解明しエイズ制圧のための生化学的基盤を確立するために本研究を遂行した。エイズの原因ウイルス(Human immunodeficiency virus type 1,HIV-1)のコアタンパク質p17^<8α8>はその前駆タンパク質Pr55^<8α8>が生合成されると直ちにN-ミリストイル化を受けており,HIV-1ウイルスの感染性にN-ミリストイル化は必須であることが申請者らにより明らかにされている。また,N-ミリストイル化を受けるタンパク質のアミノ末端は必ずグリシン残基であることから,N-ミリストイルグリシン分子,特にHIV-1のコアタンパク質(p17^<8α8>)に着目しN-ミリストイルグリシン分子を特異的に認識する抗体を作成した。本単クローン抗体はミリスチン酸以外の脂肪酸ではその抗原ー抗体反応は阻害されず,また種々のN-Nyr-Gly-ペプチドとも反応することから,特異的にN-Myr-Gly分子を認識していることがわかった。本単クローン抗を用いたウエスタンブロット分析の結果,エイズウイルス感染細胞中のN-ミリストイル-ウイルスコアタンパク質(p17^<8α8>,p41,Pr55)を検出することができた。抗N-Myr-Gly単クローン抗体のエイズウイルス感染中和活性を測定した結果,弱い中和活性が認められた。さらに,抗N-Myr-Gly単クローン抗体を用いた酵素活性法(ELISA)によりエイズウイルス感染細胞内の総N-ミリストイル化タンパク質を半定量することができ,簡単なエイズウイルス抗原検出診断方法の基礎となるものと思われる。本研究の結果,エイズウイルスにおけるN-ミリストイル化の意義が解明され始め,エイズ制圧のための重要な生化学的基盤の一つが確立できた。
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Research Products
(1 results)