1991 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性肝炎発症LECラットを用いたウィルソン病解明へのアプロ-チ
Project/Area Number |
03454499
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 千鶴子 北海道大学, 理学部, 教務職員
阿部 周一 北海道大学, 理学部, 助教授 (80125278)
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Keywords | ウィルソン病 / LECラット / 肝炎 / 肝癌 / 銅代謝 |
Research Abstract |
1.LECラットの銅代謝異常に関連し、血液(血漿)セルロプラスミンと血漿銅の活性を調べた。LECラットでは両種の活性とも低い値をしめし、また、他系統とのバッククロス[(BN×LEC)F_1×LEC]ラットとの比較から、これら低活性値はLECラットにおいて遺伝的に支配されていることが分かった。 2.セルロプラスミン遺伝子変異についての検索:ヒトとラットのセルロプラスミン遺伝子塩基配列から、保存性の高い部位をプライマ-としてLECと他の3系統のラットの肝臓由来のDNAをPCRにより増幅し、アガロ-ス電気泳動法によりPCR産物を分析した。その結果、LECラットのPCRーDNA断片は他系統と差が見られず、全て同一サイズをしめしていた。したがって、セルロプラスミン遺伝子においては、保存性が高いと考えられた範囲内では、欠失や塩基置換などの大きな変異がないか、あっても小さなものと考えられ、低セルロプラスミンの要因は少なくともこの遺伝子部位の異常によるものではないと考えられた。しかしながら、point mutation など小変異についてはこのシステムでは不明であるので、現在この部位の塩基配列を分析中である。 3.肝炎遺伝子,hts,の連鎖分析:ヒトウイルソン病の原因遺伝子は第13染色体上にあり、ESD(エステラ-ゼD)、RB1遺伝子などと連鎖していることが知られているので、LECにおける肝炎発症について、主としてESD遺伝子との連鎖分析を行なった。アイソザイムパタ-ン分析では肝炎発症とESD遺伝子との間では組換え率が高く強力な連鎖が見られなかったが、ラットESDが存在する第15染色体が両腕性染色体であるので、高組換え率はこの両腕性を反映している可能性もある。現在、ESD遺伝子をクロ-ニングし、ESD遺伝子の染色体マッピングを含めたDNAレベルの分析を行なっているところである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kato,S.,Tachibana,K.,Takayama,N,Kataoka,H.,Yoshida,M.C.& Takano,T.: "Genetic recombination in a chromosomal translocation t(2;8)(p11;q24)of a Burkitt's lymphoma cell line,KOBK101." Gene. 97. 239-244 (1991)
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[Publications] Yoshida,M.C.,Nishizawa,M.,Kataoka,K.,Goto,N.,Fujiwara K.T.,& Kawai,S.: "Localization of the human MAF protooncogene on chromosome 16 to bands q22ーq23." Cytogenet.Cell Genet.58. 2003 (1991)
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[Publications] Matsuoka,R.,Yoshida,MC,Kanda,N.,Furutani,Y.,Bruns,G.Yanagisawa,M.& Takao,A.: "Human smooth muscle myosin heavyーchain gene mapped to chromosomal region 16q12.1ーql2.2." Cytogenet.Cell Genet.58. 2000-2001 (1991)
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[Publications] Ono,T.,Abe,S.,& Yoshida,MC: "Hereditary low level of plasma ceruloplasmin in LEC rats associated with spontaneous development of hepatitis and liver cancer" Jpn.J.Cancer Res.82. 486-489 (1991)
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[Publications] Arinami,T,Ishikawa,M,Inoue A,Yanagisawa,M,Masaki,T,Yoshida,MC,& Hamaguchi,H: "Chromosomal assignments of the human endothelin family genes:the endothelinー1 gene(EDN1)to 6p23ーp24,the endothelinー2(EDN2) gene to 1p34,and the endothelinー3(EDN3)gene to20q13.2ーq13.3" Am.J.Hum.Genet.48. 990-996 (1991)
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[Publications] Ozawa,K,Sudo,T.Soeda,E.,Yoshida,MC,&Ishii,S.: "Assignment of the human CREB2(CRE BP1)gene to 2q32" Genomics. 10. 1103-1104 (1991)
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[Publications] Mori,M.,Yoshida,M.C.,Takeichi,N.,& Taniguchi,N.(Eds.): "The LEC Rat" SpringerーVerlag, 356 (1991)
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[Publications] 村松 正実(編): "医科分子生物学" 南江堂, 479 (1991)