1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03454509
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
七田 恵子 (財)東京都老人総合研究所, 看護学部門, 室長 (80072990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 弘子 東京女子医科大学看護短期大学, 講師 (60220216)
卷田 ふき (財)東京都老人総合研究所, 看護学部門, 研究員 (90219303)
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Keywords | 痴呆性老人 / 評価 / 健康状態 / 自覚症状 / 他覚症状 / 身体症状 / 精神症状 |
Research Abstract |
最終年度(平成5年度)は、老人専門病院入院患者について、入院時症状と診断名との関連を痴呆の有無別に分析した。研究方法は、1992年度1年間の入院患者記録 入院時の看護婦による聴収内容、看護経過概要 の中から、入院までの経過、自覚・他覚症状、痴呆の有無、日常生活動作能力、疾患名等を調べた。ただし、65歳未満、確定診断のつかなかった者、および入院理由が機能訓練、眼科手術、整形外科疾患、ケア目的の痴呆患者は除外し、159例が今回の分析対象となった。結果・考察(1)診断名に対して典型的な入院時症状を有するものが120例(75.5%)典型的症状がみられない者が、39例 (24.5%)であり、85歳以上になると、典型的な症状が出にくくなる傾向がみられた。(2)精神症状があった者は23例、そのうち、痴呆と診断されていた者は、6例(26.1)%に過ぎなかった。せん妄や物忘れといった精神症状があるからといって容易に痴呆ときめつけてはならない。(3)痴呆患者は症状を訴えられないためか歩行困難、出血、発熱、喘鳴、黒色便、転倒、呼吸困難といった他覚症状で入院していた、(4)痴呆がある場合の身体疾患の発見には、他覚的症状の他に、全身的な観察が必要であることが確認された。(5)前年度で、身体的疾患の食事への影響が強いことは報告済みであるが、今回のデータによっても再確認された。(6)言葉が少なくなる、なんとなく動きが悪くなった、ぼんやりしている、自室でゴロゴロすることが多くなった等、身体症状というより、生活上に変調をきたすといった現れ方をする場合もある。結論、一般に、高齢者の症状はあまり表出しないといわれているが、非痴呆群では典型的な症状を示す者が比較的多かった。痴呆患者では、自覚症状の訴えは少なく、他覚症状、全身症状および生活上の変調に注意して観察しなければならないことがわかった。
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