1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610060
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
安藤 清志 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50125978)
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Keywords | 自己呈示 / 印象操作 / 対人認知 |
Research Abstract |
本年度は、自己の能力が評価の対象となる場面において,人が実際の能力(テスト得点)をどのように他者に呈示するか,また,その呈示によって相手にどのような印象を与えると認知するのかを場面想定法によって検討した。見体的には,男女大学生約200名に試験の結果を言う場面を想像させ,友人に答えるであろう得点と,その時に印象づけようとするイメ-ジを回答させた。その結果,高得点をとった場合には実際の成績よりも低めた自己卑下的な自己呈示を行うことが明らかになった。また,その高得点が公開される条件では,その傾向は弱く,自己呈示内容と実際の得点とのズレが相手にわかってしまう場合にはより誠実な呈示を行う傾向があることが明らかになった。さらに,得点が低く,成績が公開されない時には,能力がないと思れることを因避するために自己高揚的な主張をし,低得点が公開されてしまうとくには,実際の成績とかけ離れた主張をして誠実さを疑われることのないように,正確な自己呈示をする傾向が認められた。 第2実験では女子大学生を対象にして相手との「親密度」は独立変数として能力の自己呈示の様相を検討した。その結果,相手が親して友人の場合には正確な呈示を行うが,相手が顔見知り程度の場合には,高得点条件では実際より低めて、位得点条件では高めて呈示しており,印象操作への動機づけが高くなる傾向が認められた。 以上の知見を基礎にして,次年度はセルフハンディキッピング方略の1つとして「努力の抑制」の問題を取り上げ,実験的な検討を加える予定である。
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