Research Abstract |
本調査は1975〜79年に筆者が標準化した日本版デンバ-式発達スクリ-ニング検査(通称JDDST)の調査対象となり、学童期にも追跡でき,現在青年期に達した子どもとその家族(東京群)を対象とし自己概念とそれに関与する諸因子を横断および縦断的方法により検討した。その結果として以下の事柄が明らかになった。1・回答者数:質問紙法と面接法(リスク者概当)で協力が得られ,自己概念分析に有効な回答者は子ども134名,平均年齢17.4歳,母140名,平均年齢46.2歳,父124名,平均年齢49.2歳であった。2.健康状態:治療中の疾病・けがのある子ども12.9%,健康状態不良の母9.3%,父12.1%であり,子どもの疾病の種類には脳性まひなどの障害の他に神経症(醜形恐怖),潰瘍性大腸炎などもあり,現代のストレス社会で羅患しやすい心身症に悩む者があった。3.子どもと親との自己概念の関係:(1)子どもの性別に多および母と子どもとの自己概念総得点との関係をそれぞれ検討した結果,男子と父親の自己概念との間には負の相関,父と母との間には正の相関があって,それぞれ有意であった。一方,女子と父及び母との間,父と母との間に有意な相関はなかった。(2)親の自己概念領域と子どもとの関係を検討した結果、子どもとの関係に自信のある父・母は自信のない父・母に比較して自己概念総得点が有意に高いばかりでなく“自己価値",“養育",“援助",“社会性",“ユ-モア"などの領域で得点が高く,成人期発達の成熟度がより高いことを示唆していた。(3)縦断的資料に基づき子どもの自己概念総得点を役属変数とし,これに関与する諸変数で重回帰分析を試みた結果,子どもの意欲,乳幼児期JDDSTの評価,現在の健康状態,生活の満足度,父の自己概念総得点,母の学歴よって40%説明されるという知見であった。これらの結果が調査対象の特性によるのか,または現代青少年に一般化できるのかを検討の予定である。
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