1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03610175
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Research Institution | CHUO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三上 昭美 中央大学, 文学部, 教授 (50055084)
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Keywords | 府 / 県 / 鎮台 / 裁判所 / 太政官 / 行政官 / 民部官 / 民部省 |
Research Abstract |
日本近代史の研究において、明治初期の研究は、中央の政治・経済・外交などの研究に集中し、初期の直轄地である鎮台・裁判所・府県等については、その設置・改廃・行政区域などが明らかにされているだけで、この地方行政が新政府の政策の一環として総合的に把握され、研究されていないのが実情である。 従って、今年度も昨年度に引き続き、残存史料の多い府県と未調査の府県の史料の調査・資料収集を行い、それを整理し、研究を進めている。 地方行政機構は、その時の政治制度や地理的環境、交通・通信・流通などの関係によって一定の規模があるはずであるが、明治初年の場合、江戸幕府の直轄地とそれを統治する奉行所・代官所などがまず対象となったものの、支配地の拡大に伴って反政府諸藩の移封・削減地に設置された府県が加わり、明治元年10月の府藩県三治制によってようやく制度的な統一性に緒がつけられたものである。この後も府県の改廃は著しく、かつ繁雑なため、まず制度的な整理が必要であり、それと並行して個々の府県と政府の関係についての研究を進めなければ、この問題の全体像を見失う恐れがある。今年度は、史料の収集とともにこの点に留意して研究を進めた。 そこで、新政府の中で地方行政を掌った機関の特定と、それを担った議定・参与・弁事の各々の職掌をはじめ、その政策決定を明らかにする必要があるため、これらに関する史料の調査・収集も行った。 また、地方行政に関する政策決定と施行という問題を調査していく過程で、それぞれの担当者の中で重要な役割を果したと思われる個人の調査・研究が欠くことのできない作業であることを痛感している。明治政府の場合、府県という地方行政は、国家の行政の一つであり、その地域は国家の行政区域であるので、政府の政策の中で本課題を取り扱いたい。
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