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1992 Fiscal Year Annual Research Report

ヴァイマル期ドイツにおける産業合理化と労働者文化

Research Project

Project/Area Number 03610202
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

相馬 保夫  鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (90206673)

Keywordsヴァイマル共和国 / 産業合理化 / 労働組合 / 労働者文化 / 労働運動文化 / 大衆文化 / 郊外集合住宅団地 / 青年労働者
Research Abstract

本研究は、ヴァイマル期における産業合理化と労働者・労働組合との関係,および労働者生活圏の変容と労働者文化・大衆文化との関係をテーマとするが、本年度は主に第二のテーマを検討した。その際に課題とした,(1)労働者家族のありかたとその変容、(2)都市計画・住宅建設が労働者の住環境に与えた影響,(3)労働者の青年層・婦人層への大衆文化の影響のうち,(2)を中心に,(1)と(3)は青年層の問題としてまとめて取り扱った。
1.1920年代に大都市ベルリンでは、都市計画により中心部の再開発が緒につき,残された北部や東部の「賃貸兵舎」街の環境もしだいに変わった。大戦後の住宅難の中,新規住宅の建設は公共資金の補助と地方自治体主導で推進されたが,とりわけ労働組合の協同組合方式や住宅供給会社により郊外集合住宅団地が建設された。しかし,それらの家賃は相対的に高く,入居者は限られた上,新しい住文化の奨励は労働者の伝統的な日常文化を否定するものだった。一方,ルール工業地帯の炭鉱住宅でも社会的変容の波は押し寄せていたが,労働者文化と生活圏の一体性はなお比較的よく保たれており,生活の場での労働者の連帯感はかえって強まった。
2.ヴァイマル末期に青年労働者が書いた作文によると,彼ら青年層は合理化と世界恐慌の影響を受けて不安定な生活を送っており,両親の世代とは異なる生活観と政治意識を有していた。職場内には全く社会的意識をもたず,大衆文化を消費することに生きがいを見出す青年たちが出現しており,彼ら青年労働者は,親の世代の労働者文化・労働運動文化にも仲間が享受する大衆文化にも同調できず,批判的・政治的意識を鋭くしていった。彼らこそ,労働者文化と大衆文化との間で方向を見定められないこの時期の労働運動文化のディレンマを体現していたといえる。

URL: 

Published: 1994-03-23   Modified: 2016-04-21  

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