1991 Fiscal Year Annual Research Report
イギリス陸軍史および陸軍兵士と女性をめぐる社会史的研究
Project/Area Number |
03610204
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
大久保 桂子 国学院大学, 文学部, 助教授 (30194096)
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Research Abstract |
平成3年度の本研究は、平成3年11月の追加交付決定後に開始されたため、実質的には4カ月ほどの期間に限られた。その間の研究成果は以下のとおりである。 1.イギリス陸軍の制度史的研究 (1)近代陸軍成立にかかわるミリシア(民兵)の制の意義,および17世紀前半における「新規軍」,17世紀後半の常備軍成立にいたるイギリス陸軍の制度史上の連続と断絶を確認した。 (2)(1)をつうじて,ヨ-ロッパ近世・近代史における「軍事革命」テ-ゼが,当該期のイギリスに適合しえない事実を発現した。さらに、近年このテ-ゼをめぐって論争が発生し,むしろ18世紀にヨ-ロッパ軍事史上の転換を見出す見解も存在することに注目した。この間の論争はわが国ではほとんど紹介されていないため、Geoffrey Parker,The Military Revolution(Cambridge UP,1988)の翻訳出版を1993年度をめどに計画している。 2.近代イギリス陸軍の構造分析 (1)将校層の社会出自については,買官制の成立と展開について確認し,陸軍将技のジェントルマンシップとその限界について知見を得た。 (2)兵士の社会出自については、現在史料を収集中である。 3.陸軍兵士の社会史的考察 兵士の結婚規制策をめぐる諸問題について,現在史料収集と整理を進めている。なおこの部分の研究成果は1992年度西洋史学会大会(於東京大学)で報告する予定である。
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