1991 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の民間戦争犠牲者の補償問題に関する政治史的研究
Project/Area Number |
03620035
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
赤澤 史朗 立命館大学, 法学部, 教授 (80202513)
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Keywords | 民間人 / 戦争犠牲者 / 戦争責任 / 戦傷病者戦没者遺族等援護法 / 戦時災害保護法 / 軍人恩給 / 軍事扶助法 / 名古屋空襲訴訟 |
Research Abstract |
本研究は、戦後の民間人戦争犠牲者の補償問題をテ-マとするものであるが、研究に着手してみて改めて気付いたことは、この問題を考える上でも、逆に対比的に軍人軍属の補償問題の歴史的経緯を踏まえる必要があることであった。そのため本年度の研究と資料収集は、当初予定の範囲を越えて軍人恩給問題にまで拡大することになった。その結果、本年度において資料収集をおこない研究の見通しを立てえた領域は、次の四分野となった。 第1は、今日の旧軍人に対する戦災補償制度の歴史的起源となる軍事救護法(1918年、のち改訂されて軍事扶助法)の調査を進めたこと。この点に関しては、帝国議会議事録のほか軍人援護会機関誌記事(早大図書館所蔵)、銃後奉公会関係資料(京都府立総合資料館所蔵)などを収集した。第2は、太平洋戦争中に民間人戦災者の援護を目的として立法された戦時災害保護法(1942年)の調査を進めたこと。この点に付いては、同法の立法関係資料(国立公文書館所蔵)、実施・適用関係の資料(社会事業大学図書館、京都府立総合資料館所蔵)の収集をした。 第3は、戦後の戦傷病者戦没者遺族等援護法の成立・改正過程と、軍人恩給の復活・改訂過程の調査を進めたこと。この点では、衆参両院の本会議・社会労働委員会・内閣委員会議事録(国会図書館法令議会資料室所蔵)を収集したが、それだけで膨大な量に達した。これらの法の成立・改正過程での論議の動向や、全体の経過の見通しを付ける上では、恩給関係の新聞切抜き資料(国会図書館新聞閲覧室所蔵)の収が役に立った。第4は、民間人戦争犠牲者の補償を求めた名古屋空襲訴訟に付いての調査を進めたこと。これについては、福島啓氏弁護士の所蔵する訴訟関係資料の複写・収集を終えるとともに、「名古屋空襲訴訟」(『被爆者問題研究』第2号)で、訴訟の経緯と問題点に付いて一応のまとめをおこなった。
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