1992 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー産業における競争的市場の形成に関する研究
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03630035
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
野村 宗訓 大阪産業大学, 経済学部, 助教授 (00198631)
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Keywords | エネルギー産業 / 競争的市場 / 電力・ガス・石炭産業 / 市場構造の改革 / 企業分割措置 / ネットワーク型の公益事業 / 供給義務・供給責任 / プライス・キャップ型の価格規制 |
Research Abstract |
平成4年度はエネルギー産業における競争的市場の形成を考察するために主としてイギリスの電力、ガス、石炭産業についての研究を進めた。これらの産業では国有企業から民間企業への転換、既存企業の分離・分割、新規参入者の出現等が大きなテーマとなっている。第1に、電力産業では民営化の実施とあわせて、市場構造の大幅な改革が推進されており、発電部門と供給部門の競争促進が実際にどの程度機能しているのかを把握した。第2に、ガス産業では民営化に伴い市場構造を改変する措置は取られなかったが、その後、企業分割措置を導入することによって独占的市場を競争的な状態に移行させる見解が出されたので、その経緯を調査した。第3に、石炭産業では電力産業民営化の影響を被り、株式売却が準備されているが、実際には労働組合からの激しい抵抗を受け、民営化が遅滞している点を検討した。 電力とガスに関してはネットワーク型の公益事業であり、競争は部分的・漸次的にしか促進できない。重要なポイントは以下の5点である。第1に、従来、垂直的に統合されてきた独占的な企業を分割する可能性を探る点である。第2に、新規参入者を一定期間に限り、保護する措置を考案しなければならない点である。第3に、競争的な市場への移行後に、供給義務の所在を明確にし、消費者に対する供給責任が維持されねばならない点である。第4に、既存企業と新規参入者の競争を監視し、プライス・キャップ型の価格規制を実施する独立的な規制機関の設立が求められる点である。第5に、EC統合が進行するなかで、外資の進出をどのような形で認めていくのかという点である。これらの点について現状がなお流動的であるので、引き続き来年度も実際の産業動向を正確に分析しながら経済政策の観点から適切な解決策を見いだしていく。
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Research Products
(1 results)