1993 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー産業における競争的市場の形成に関する研究
Project/Area Number |
03630035
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Research Institution | OSAKA SANGYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野村 宗訓 大阪産業大学, 経済学部, 助教授 (00198631)
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Keywords | 電力・ガス事業 / 公益事業 / 民営化 / 規制緩和 / 企業分割 / 独禁政策 / 独立的監視機関 / プライス・キャップ |
Research Abstract |
「エネルギー産業における競争的市場の形成に関する研究」というテーマのもとで平成5年度は主として以下のような研究を行った。第1に、日本における電力・ガス事業の改革についての動向の把握。第2に、イギリスにおける公益事業の民営化・規制緩和導入後に発生している問題点の指摘。第3に日本とイギリスの公益事業における民営化・規制緩和の進展状況ならびに政策決定過程に関する比較検討。日本のエネルギー産業は細川政権のもとで競争的市場に移行する種々の措置が考案されるようになった。いわゆる規制緩和が経済政策のなかでキーワードになっていることは周知の通りである。エネルギー部門の規制緩和を進める上で1980年代にイギリスで実施された民営化・規制緩和が大きな影響を及ぼしている。日本が現在、直面しているエネルギー部門の問題を多面的に理解し、将来、求められる政策を立案するためにはイギリスにおける公益事業の変遷や実態を調査することが極めて有用である。もちろん両国のこれまでの政府規制や企業組織の相違点を視野に入れると、イギリスで進められている公益事業の民営化・規制緩和がそのまま日本に応用できるとは断言できないが、自然独占から競争的市場への移行過程を分析する上では参考材料が数多く含まれていることが認識できた。具体的には、公益事業に対する企業分割の適用と独禁政策の活用、個別産業における独立的監視機関の創設と運営、プライス・キャップ方式による価格規制の導入・施行、外国企業による株式取得に対する対応措置等の問題解決にイギリスは積極的に取り組んでいる点から日本で今後採用されるべき指針が見いだせる。公益事業の改革は現段階ではまだ流動的であるが、競争的市場への移行後の供給義務の所在ならびに消費者に対する供給責任の保障について引き続き経済政策の観点から研究していく。
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Research Products
(1 results)