1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640272
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 圭二 大阪大学, 理学部, 教授 (10011545)
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Keywords | ゲージ対称性の誘発 / Berry位相 / 時空のコンパクト化 / 時空の位相構造 / GUTエネルギー |
Research Abstract |
我々の4次元時空における基本的な物理現象は、内部自由度をもつ素粒子が特定の対称性をもつゲージ理論によって支配されている。このようなゲージ対称性は、一般には事実として受け入れられ、それを満たす理論を手で構成するのが常である。しかし、本研究ではこのような物理法則の対称性と素粒子の存在様式が、多次元空間の一部がコンパクト化して位相的に単純でない構造をもったときに、自動的に生み出されるという可能性を追求することが目的である。 今迄の研究で、弦理論やカルツァ・クライン理論においては、このようなゲージ対称性が生み出される例が研究されてきた。しかし、我々はこの機構がもっと一般的なもので、時空のコンパクト化に伴うペリー位相によって、4次元時空にゲージ対称性が誘発される可能性を指摘している。本年(H4)度は、その例としてアーベル群ゲージ理論の模型を提唱した。また、実際にこのようなゲージ対称性の誘発が起ると、実験エネルギーがある臨界値を越えると、ゲージ対称性の位数は小さくなる。このことは、現在一般に受け入れられている対称性の自発的破れにもとずく理論では、エネルギーが高くなるにつれて位数の高い対称性が現われることになるのと対照的である。これらの対称性が変わる臨界エネルギーは、実際にはGUTエネルギー程度と考えられる。 現在は、我々のアイデアにそって、理論の数学的な精密化と、現実のゲージ対称性を生み出す模型の構成の模索を行っている。
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