1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640337
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大林 康二 広島大学, 総合科学部, 教授 (20013518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 三雄 広島大学, 総合科学部, 教授 (20004286)
永井 克彦 広島大学, 総合科学部, 教授 (90034743)
荻田 典男 広島大学, 総合科学部, 助手 (90211812)
宇田川 眞行 広島大学, 総合科学部, 助教授 (70144889)
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Keywords | 超流動ヘリウム / ラムダ転移 / 光散乱 / ボ-テックス / ロトン / 素励起 |
Research Abstract |
超流動ヘリウムの示すラムダ転移は,数あるボ-ズ凝縮に関連した相転移の中でも最も典型的なものである。このラムダ転移温度と転移点近傍の振舞いがなにによって決められるかについては,以前より2つの考え方が提案されていた。(a)ランダウとハラトニコフは素励起であるロトンが支配的であるとし,(b)オンサ-ガ-とファインマンはボ-テックスの可能性を指摘していた。これまでの学界の定説は前者であった。 2ロトンによるレ-ザ-・ラマン散乱のスペクトル幅は,ロトンの寿命の逆数に比例する。ロトンの寿命は,ロトンに衝突する励起の数に逆比例する。ロトンもボ-テックスも,ロトンに衝突してロトンの寿命を短くする。しかし,ロトンとボ-テックスとでは熱励起されて数の温度依存性が異なる。従って2ロトン・ラマン・スポクトル幅は2つのモデルで異った温度依存性が期待される。このことに着目し,ラムダ転移の採構の本質を明らかにするため,ラマン散乱スペクトル幅の温度依存性を測定した。試料である超流動ヘリウムの圧力を,飽和蒸気圧,1気圧,5気圧,20気圧にそれぞれ制御し,温度を0.8Kから4Kまで細かく変化させた。その結果,どの圧力下においても,約1.7K以下ではラマン散乱スペクトル幅はロトン励起であるとしたランダウ・ハラトニコフ理論で説明できる。しかし,約1.7K以上からラムダ点までは,ランダウ・ハラトニコフ理論からのズレが見られ,幅は温度の上昇とともに急激に増大する。このことは,ラムダ転移がボ-テックス励起によっておこるとすると定性的に説明できる。この一連の測定によって,ラムダ転移がボ-テックス励起によるものであることを強く示唆する証拠を得た。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Ohbayashi: "Infrared Anomaly in HighーTc Superconducting Oxides" Jpn.J.Appl.Phys.Series7. 147-153 (1992)
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[Publications] A.F.G.Wyatt and H.J.Lauter(Eds.)K.Ohbayashi: "TwoーDimentional and ThreeーDimensional Quntum Fluids" Plenum Press, 598 (1991)
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[Publications] K.Ohbayashi: "Light Scattering from Liguid Helium" Combridge University Press, 200 (1992)