1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640354
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Research Institution | Keio university |
Principal Investigator |
山田 興一 慶応義塾大学, 理工学部, 専任講師 (40146577)
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Keywords | 疑似量子カオス系 / ファイバー光伝播 / 位相共役波 |
Research Abstract |
1.疑似量子系として多モード光ファイバーが利用可能であることを確認しが、次のような困難も指摘できた。 (1)多モードファイバーの屈折率分布が製作の過程でかなり理想的な分布からずれるため、単一高モード状態の維持が困難となる。特に微少な曲げによる摂動が揺らぎとして働くためファイバーの保持が微妙となる。 (2)カオス系実現には、制御された周期的摂動が適当であるが、一般には多モードファイバーへの摂動は、モード間遷移としてよりも、クラッドへの散逸として働く。つまりファイバーのモードを疑似的な原子とみなせば、主としてイオン化が起こるため、当初の目的である位相共役波を利用した時間反転によるカオス系の混合性研究には重大な障害となる。ナイロン被覆を施していないファイバーを用い、いわゆるマイクロベンドによる摂動がほぼ適当であることが判明した。 2.疑似量子カオス系の時間反転実験として、多モードファイバー内を伝播する光波の位相共役波発生を行った。 (1)波面の「乱雑さ」の摂動強度依存性について、位相共役波のそれは、伝播波のそれに比べて、鋭い立ち上がりがあるが、まだ前述の散逸の効果が残っているため、疑似量子系としての確定的事実とはいいがたい。 (2)位相共役波発生の非線形材料として微粒子半導体ドープガラスを用いているが、発生効率は、光源のスペクトル改善や試料冷却によるダークニング回避にもかかわらず、まだ1%弱である。このためファイバー出射端での反射やポンプ光のもれなど光学系配置が微妙となり、またモードパターンの検出装置も購入したビデオカメラでは感度が足りず、高感度フィルムによる積分が必要となった。
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Research Products
(1 results)