1991 Fiscal Year Annual Research Report
逆ミセル中の水小集合体と孤立水和クラスタ-の比較研究
Project/Area Number |
03640402
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
森 佳洋 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (20019128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 泰司 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (90019125)
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Keywords | 過渡吸収スペクトル / 逆ミセル / 水クラスタ- / ピレンスルホン酸塩 / 可溶化 / クラスタ-ビ-ム |
Research Abstract |
1.ショ-トア-クパワ-フラッシュ光源(日進電子工業、SAー200E)を購入し,これに大きな誘導コイルを取り付けることにより、パルス光ピ-ク周辺の平坦性を数100μsまで確保することができた。その結果レ-ザ-励起過渡吸収スペクトルの測定時間範囲が既存のものより大巾に広くなり、そのデ-タ処理も格段に容易になった。また、付属のライトガイドを用いることにより光学系の配置も単純化された。 2.上記の改良を行い、水/AOT(界面活性剤)/イソオクタン逆ミセル系に可溶化したピレンスルホン酸(PSA)塩のレ-ザ-(XeF(351nm),XeCl(308nm))励起過渡吸収の強度と時間変化を、ミセルサイズ,PSA濃度および雰囲気(0_2,N_2)の関数として測定した。その結果、レ-ザ-励起により、PSAの三重項、両性イオン、二価の陰イオンおよび水和電子が生成することがわかった。これらの過渡的化学種の生成と減衰過程の解析から、PSAの逆ミセル内への可溶化位置と分布がミセルのサイズに顕著に依存することをみいだした。即ち、小さな逆ミセルではPSAはほとんどAOTの疎水性部分に分布し、逆ミセルのサイズが大きくなるに従い、その内部のwater pool中に可溶化する割合が増加する。最も大きなwater poolを有する逆ミセルに対してもPSAの一部はなお、AOTの疎水性部分にも分布している。 3.ピラニンについても同様の実験を始めたが、逆ミセル中へのこのようなピレン系色素の可容化の特徴は、孤立水クラスタ中への溶解の問題と対比すれば非常に興味深い。それにより逆ミセル中のwater poolの外側イオン層の効果が明らかになってくると思われる。このような観点から、溶質分子を含む大きな水クラスタ-を分子ビ-ム法により生成するためにスキマ-およびパルスビ-ム源を購入し、現在、分子ビ-ム発生装置の改良を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 森 佳洋: "Twoーphoton ionization of pyrenesulfonate and formation of its dianion in the water pool of H_2O/AOT/isooctane reversed micellar system" CHEMICAL PHYSICS LETTERS. 183. 584-589 (1991)
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[Publications] 森 佳洋: "AOT逆ミセル中に可溶化したピレンスルホン酸のレ-ザ-励起過渡吸収" 豊田研究報告. 45. (1992)