1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640480
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
神川 忠雄 近畿大学, 理工学部, 教授 (40047006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山際 由朗 近畿大学, 理工学部, 助手 (80166602)
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Keywords | 複合脂質 / エ-テル糖脂質 / スフィンゴ糖脂質 / 合成 |
Research Abstract |
近年複合脂質が生物認識、細胞分化調節、細胞ー細胞間認識、情報の仲介、免疫反応等に深い関わりがあることが分かってきた。脳、神経等に存在するセラミドホスホコリン、海産動物の細胞膜を構成するスフィンゴ糖脂質の化学は、最近ようやくその全貌が明らかになりつつある。しかしながら、これらの複合脂質は複雑な混合物で、単離・同定が困難なために、単一の状態での研究例は非常に少ない。これらの化合物の化学的、物理的諸性質を解明するには純物質の合成が不可欠であって、本研究は複合脂質の効率的合成法の開発を目指して行われた。合成の標的化合物として、好ハロゲン菌の細胞膜成分、ジフィタニルエ-テルグリセロ糖脂質(a)、および海綿の細胞膜成分スフィンゴ糖脂質(b)を選び、平成3年度にはつぎのような成果を得た。 1.すでに我々が確立したdlーグリセロジフィタニルエ-テルの合成法を応用し、糖脂質を合成し、その糖のCー6位に種々の極性基を導入して、化合物(a)、および(c)の合成に成功した。この種の脂質は相転移温度が低いという興味ある性質を持っている。今後生物活性についても研究する予定である。 2.スフィンゴ糖脂質の重要構成成分であるスフィンゴシンをdーガラクト-スから効率よく合成する方法を開発した。この方法は、スフィンゴ型糖脂質の簡便な合成法として大いに利用価値があるものと思われる。また、アスコルビン酸からフィトスフィンゴシンを合成する方法を開発した。この成果は複合脂質の絶対配置を合成的に決定するの大きく貢献するものと思われる。これらの実績を踏まえて、さらに複合脂質(b)の全合成を目指している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Yamauchi,K.Yamada,M.Kinoshita,T.Kamikawa: "Archaebacterial Lipids:Surface Pressure-Surface Area Isotherms of 1,1'-(1,32-Dotriacontanediyl)bis〔2-〔(3RS,7R,11R)-3,7,11,15-tetra-methylhexadecyl〕-sn-glycero-3-phosphocholine" Bull.Chem.Soc.Japan. 64. 2088-2090 (1991)
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[Publications] N.Hirata,Y.Yamagiwa,T.Kamikawa: "A Convenient Stereoselective Synthesis of D-erythro-C_<18>-Sphingo-sine from Galactal" J.Che.Soc.,Perkin Trans.1. 2279-2280 (1991)