1991 Fiscal Year Annual Research Report
ポリチオン酸イオンを含む硫黄化学種混合物の分析法に関する研究
Project/Area Number |
03640500
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
康 智三 東海大学, 理学部, 教授 (90055765)
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Keywords | 吸光光度分析 / 硫黄化学種混合物分析 / 硫黄化学種混合物分離 / チオ硫酸イオン生成 / 亜硫酸イオン / ヨウ素 |
Research Abstract |
ポリチオン酸イオンは化学的および物理的性質が類似しており,また,チオ硫酸イオン,亜硫酸イオン,硫化物イオン等と共存することが知られている.したがって本研究目的を達成するためには,まず,チオ硫酸イオン,亜硫酸イオンおよび硫化物イオン混合物の簡便な分析法を開発することが必要である.そこで平成3年度はS_23_3^<2->-SO_3^<2->-S^<2->混合物を各成分に分離し,各成分を直接的に定量できる条件を確立した。本法は三つの操作から成る.上記3種硫黄化学種混合物中のS_2O_3^<2->の定量操作Iでは,緩衝剤(pH5.0)と酢酸亜鉛を含む溶液に3種硫黄化学種混合溶液を加え,これに一定量の塩酸溶液を加えて窒素ガスをバブリングすることにより,SO_3^<2->とS^<2->を完全に除去することができた.したがってSO_3^<2->とS^<2->の共存下のS_2O_3^<2->を操作Iによって選択的に定量できた.混合物中のSO_3^<2->の定量操作IIでは,緩衝剤(pH5.0)と塩化水銀(II)を含む溶液に3種硫黄化学種混合液を加え,これに一定量の塩酸を加えて窒素ガスをバブリングしたとき,SO_3^<2->はSO_2として選択的に分離されることが分かった.ここで発生したSO_2をpH7.8〜10.0に調節した硫黄エタノ-ル混合液に吸収したときSO_3^<2->に当量のS_2O_3^<2->が生成した.したがって,操作IIを用いS_2O_3^<2->とS^<2->共存下のSO_3^<2->を選択的に定量することができた.混合物中のS^<2->の定量操作IIIでは,三種硫黄化学混合液に一定量の塩酸を加えて窒素ガスをバブリングし,S^<2->をH_2Sとして分離してシアン化物とヨウ素の混合液に吸収した.ここで生成されるS^<2->に当量のSCN^-を測定することでS^<2->を選択的に定量できた.本法を温泉水や湖水試料に応用し,添加回収実験を行ったところ95.6〜103.6%の回収率で各成分を満足に定量することが可能であった.
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