1991 Fiscal Year Annual Research Report
オンラインキレ-ト濃縮ーHPLC法による微量多元素同時定量法の自動化の研究
Project/Area Number |
03640502
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
一ノ木 進 北陸大学, 薬学部, 講師 (10102758)
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Keywords | 高速液体クロマトグラフィ- / 重金属 / キレ-ト / ヘキサメチレンジチオカルバミン酸塩 / 自動分析 / カラム濃縮 / 吸光検出 / 同時定量 |
Research Abstract |
自動化のための各装置の結合に先だって、分離条件の基礎的研究を行った。キレ-ト剤、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸塩(HMDC)は、溶液中では溶存酸素による酸化反応を受け、その反応速度は温度が高いほど大きい。かといってHPLCのカラム温度を下げるとカラム効率が下がり、分離度や検出感度(ピ-クのシャ-プさ)の点では不利になる。そこで、Cd、Ni、Pb、Cu、Hg、Co及びBiのHMDC及びピロリジンジチオカルバミン酸キレ-トについて、C_<18>カラムを用いて10〜50℃のカラム温度で、メタノ-ルー水ークロロホルムー0.01MHMDCを溶離液として、そのHPLC挙動を調べた。その結果、検量線の直線範囲(定量下限)、検出感度及び繰り返し再現精度の点では、10℃、30℃よりも50℃の結果の方が優れていた。ただ、低温の方がキレ-トの安定化のために必要な、溶離液中の各キレ-ト剤濃度は少なくてよいことが分かった。 溶離液中のキレ-ト剤濃度が高いと、HPLCシステム中の金属との反応で生じたキレ-トがブランク値を高くする事が予想される。カラム温度は高くして検出感度を高く保ちながら、ブランク値を小さくできれば、定量下限はさらに下がるはずである。そこで、溶範液中の溶存酸素をほぼ完全に除去することによって、キレ-トのカラム内分解を防ぐ方法を検討した。30分間、減圧超音波法を行っても、水中の溶存酸素は約3mg/Ωと飽和状態の濃度の3分の1にしかできないが、窒素バブル法(約1.6Ω/min)では約10分間でほぼ完全に溶液酸素を除去できた。さらに、窒素を封入したビ-チボ-ルを溶離液びんに取り付ければ、空気中からの酸素の溶解を24時間以上完全に防げることがわかった。以上の結果は、溶離液中に配位子を添加しない新しい溶離液系の可能性を示唆しており、チタンフィルタ-のカラム使用とあいまって、定量下限の大幅な改善が期待できる。
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