1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03640546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石栗 義雄 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助手 (90006015)
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Keywords | 表現型可塑性 / 制御環境 / タネツケバネ / 地理的変異 / 日長性 / バ-ナリゼ-ション / 前繁殖期間 / 集団内変異 |
Research Abstract |
1 北半球の温帯圏に広く分布するタネツケバナ(Cardamine flexuosa With.)は我国では春期に集団の一斉開花が見られるが夏期から秋期にかけては集団を構成する個体バイオマスあるいは発育段階に依存した開花を示し長期間にわたって開花が見られる。さらにこれらの開花習性は地理的な変異を示し、タネツケバナが集団ごとにバ-ナリゼ-ションに関わる低温と日長に対する反応性に違いがあることが示唆される。 2 富山、京都、大阪の水田、大阪の果樹園および富山、京都の山地から採取した6集団の種子から発芽した実生に制御環境下で低温(5℃、30日間)の有無と日長(長日、短日)を組合せた4条件を与え、開花習性とそれに付随する形質の表現型可塑性と環境要因との解析を行なった。 3 全ての水田、果樹園集団は4条件全てで開花したが、長日条件は前繁殖期間を著しく短縮し、低温処理の後に長日条件が与えられると一層促された。短日条件では低温処理を受けた場合、前繁殖期間の短縮が見られたが低温処理を受けない場合には開花の遅延が見られた。 4 4条件における前繁殖期間の長さには集団間の違いが明確に示された。富山水田集団は条件間の差が極めて小さく、環境に対する低い可塑性を特性を示した。一方大阪の水田および果樹園集団は低温ー長日、長日条件での前繁殖期間短縮の効果が著しく顕著であり、これらの環境に対する高い可塑性をもつことが示された。 5 前繁殖期間の集団内変異が低温ー長日では小さく、短日では大きく示され、どの集団においても越冬後の春期に一斉開花するが、秋期には長期間にわたって開花する開花習性と良く一致した。 6 山地集団の特徴は低温処理を与えない短日条件では開花しないことと、最も開花しやすい条件である低温ー長日条件においても水田集団より10日以上遅延することである。これは春期開花が水田よりも遅く、秋期には開花が見られないという野外のフェノロジ-と良く一致する。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kudo,H.,Y.Ishiguri and S.Kawano: "Cardamine hirsuta L.,A New Ruderal Speacies Introduced into Japan" J.Phytogeograpy and Taxonomy.