1992 Fiscal Year Annual Research Report
酵母Rhodotorulaにおけるカロテノイド生合成の光誘導機構の解明:初期光化学反応へのアプローチ
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03640569
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
多田 幹郎 岡山大学, 農学部, 教授 (50032991)
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Keywords | Rhodotorula 属酵母 / カロテノイド生合成 / 光誘導機構 / 吸収スペクトル変化 / 作用スペクトル / エルゴステロール / 光化学反応 |
Research Abstract |
1.酵母Rhodotorula minutaにおけるカロテノイド生合成の光誘導にかかわる光化学反応への手掛かりを得るために、その光化学反応の進行を直接反映するシグナルの検出を行った。その結果、菌体に長波長紫外光(UV-A,UV-B)を照射すると、紫外光領域の吸収スペクトルに微細な変化(260〜300nmでの吸収の低下と230nm近辺の吸収増加)が生じることを見いだした。そして、その変化量は光量に依存すること及び酸素の存在によってその変化が増強されることを明らかにした。 2.光照射による吸収スペクトル変化が細胞のどこで起きているかを確かめるために、細胞を細胞壁、細胞膜、細胞質に分画し、それぞれの画分に光照射を行って調べた結果、上記の吸収スペクトル変化は細胞膜で生じていることを明らかにした。 3.この吸収スペクトルの変化は、酵母細胞膜構成成分であるエルゴステロールの光化学反応による分解によって生じていることを明らかにした。また、リポソームを用いての再構成膜のモデル実験においても、エルゴステロールが光化学反応によって分解されることを確認した。 4.細胞膜エルゴステロールの光分解についての作用スペクトルを測定した結果、その作用スペクトルは、カロテノイド生合成の光誘導の作用スペクトルと極めて近似していることを認めた。 5.上記の結果に基づいて、酵母Rhodotorula minutaにおけるカロテノイド生合成の光誘導にかかわる光受容体はエルゴステロールであり、この光受容体自身が光化学反応の基質となっていると推察した。そして、この光生物現象は細胞膜での光化学反応によるエルゴステロールの分解を起点として、それによって生じる細胞膜の高次構造変化が細胞膜に存在する酵素の活性に影響を及ぼし、その結果としてセカンドメッセンジャーが生成されるものと推察した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mikiro Tada: "Methods for investigatig photoregulated carotenogenesis." Methodd in Enzymology. 214. 269-283 (1993)
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[Publications] Megumu Hada: "UV-B light-induced absorbance change in the yeast Rhodotorula minuta." J. Photochem. Photobiol.57. (1993)