1991 Fiscal Year Annual Research Report
日本産板皮類および軟骨魚類化石に関する古生物学的研究
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03640658
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
後藤 仁敏 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (90014208)
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Keywords | 板皮類 / 皮甲 / 棘胸目 / 板鰓類 / 歯 / 軟骨魚類 / 象牙質 / 脾臓 |
Research Abstract |
1.日本産板皮類化石についての分類学的・形態学的・組織学的研究 岐阜県上宝村の福地層(下部デボン系)から発見された板皮類化石について,その形態的特徴から,棘胸目パラエアカンタスピア科に属するRomundina sp.indet.に同定した。標本はA・Bに2つあり,ともに右側の層帯の側復部で,標本Aは棘板と前側腹板,標本Bは棘板・前側腹板・前外側板の一部・前腹板・内側板から構成されている。これらの骨板の秋面に多数の小さな星形の結節が存在し,また骨板の縫合線が不明瞭であることなどの特徴がRomumdina層に一致しており,その模式種のR.stellinaとは棘が長くて内側に曲がることなどで異なっていることから,上記のように同定した。皮甲の研磨標本を作成して共学顕徴鏡で観察した結果,中央の軟骨様組織・海綿骨様組織・指節をつくる暗色組識から構成されることが分かった。以上の結果は,発見者の大倉氏と共著論文を作成中である。 2.日本産初期中生代の板鰓類歯化石に関する研究 京都府夜久野町の夜久野層群(三畳紀中期)産のHybodus sp.の歯,同町の難波江層群(三量紀後期)産のAcrodus sp.前歯,宮城県志津川町の志津川層群(ジェラ紀前期)産のAsteracnthus sp.の側歯について,形態的特徴を記載し,報告した(久家直之・帛天喜一郎氏と共著論文)。 3.軟骨魚類の歯の形態と構造の進化に関する研究 これまで進めてきた現生と化石の歯の形態と構造に関する資料を環指し、古生代デボン紀から現在までの進化傾向について考慮し、英文の論文として発表した。とくに,像牙質の多様性に注目した。 4.古生代型板鰓類の遺存種としてのラグカの脾臓に関する研究 歯の形態・構造・発生に関する研究との比較として,造血器としての脾臓をとりあげ,形態・位置・組織を他種と比較・検討した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Goto: "Evolutionary trends of the tooth Structure in chondrichthyes" Mechanisms and Phylogery of Mineralization in Biological Systems(S.Suga and H.Nakahand eds.),Springer. 447-451 (1991)
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[Publications] 田中 康一: "ラブカ(Chlamydoselachus angaineus)脾臓の担織・解剖学的特徴" 解剖学雑誌. 66. 20-26 (1991)
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[Publications] 後藤 仁敏: "日本産・中生代のヒボドゥス上科板鰓類3属の歯化石について" 地質学雑誌. 97. 743-750 (1991)
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[Publications] 坂井 建雄: "講座進化(4)形態学からみた進化" 東京大学出版会, 276 (1991)