1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650017
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上浦 洋一 岡山大学, 工学部, 助教授 (30033244)
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Keywords | シリコン / サーマル・ドナー / 酸素ドナー / 赤外吸収 / ダブル・ドナー / 酸素クラスター / 酸素の拡散 |
Research Abstract |
1.PをドープしたCzochralski(CZ)シリコン結晶を470℃で長時間熱処理し,4Kで赤外吸収測定を行った.その結果,前年報告したように,何種類ものthermal donor(TD)の浅い方のレベルの基底状態から励起状態への電子遷移による鋭い吸収ピークが観測された.本年の実験は,これらのTDピークの長時間熱処理による消滅挙動とnew thermal donor(NTD)の生成との関連およびそれに対する炭素の効果を明らかにし,さらにTDとNTDの形成・消滅機構と電気的活性化の機構を考察する目的で行った. 2.実験の結果,以下のことが明らかになった.赤外吸収測定により得られたTDのピーク波数は炭素密度にかかわらず同じであった.したがって,炭素密度の違いによらず同じTDが形成される事がわかる.TDの吸収係数のアニール時間依存性より,炭素の多い結晶でTDの形成が抑制される事がわかった.さらに特徴的なことは,この結晶においてTDの消滅が異常に速く起こる事である.このTDの消滅に対応して炭素密度も滅少し,さらにこれらの変化とNTDの形成が密接に関係している事が明らかになった. 3.以上の結果より,次のような機構が考えられる.まず,TDは拡散係数の高い酸素以外の不純物のクラスターによるものか,また酸素の拡散が他の不純物の存在により高速化されて形成された酸素クラスターがTDとして働くと考えられる.このTDの形成に伴って発生したself-interstitialが炭素原子を格子間位置に押し出し,この格子間炭素が速く拡散してTDと反応し,それを電気的に不活性化する.この電気的不活性なクラスターがNTDの核として働く.すなわち,この核へ酸素が拡散しクラスターを形成することにより電気的に活性化しNTDを生ずると考えられる.
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