1991 Fiscal Year Annual Research Report
透過伝導電子スピン共鳴およびマイクロ波磁気吸収による超伝導ー常伝導近接効果の研究
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03650024
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西田 昭彦 福岡大学, 理学部, 助手 (90131838)
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Keywords | 透過伝導電子スピン共鳴 / マイクロ波磁気吸収 / 近接効果 / 高温超伝導体 / 二次元超伝導 / 磁束ピン止め / 不可逆線 / スケ-リング則 |
Research Abstract |
1.当初の計画通りにプログラマブル定電流発生器を購入し,これと組み合せるための簡便で信頼性のある抵抗測定用クライオスタット(4.2K〜300K)を作成した。これを用いて主としてBi系およびY系銅酸化物超伝導体の電気抵抗を精密に測定し、原料酸化物の混合条件や焼結条件を変えてTcの変化を調べた。これは電子ビ-ム蒸着用の最も適した蒸発源の開発へとつながるべきものであるが、Y系に関してはかなり満足すべき結果が得られたのに対して、Bi系についてはTcの分布を一層少なくするための条件を見い出す必要があることが分った。 2.二層膜系のTESRの予備的な測定によって、超伝導体の転移が充分鋭いことや、超伝導体と常伝導体との間の結合度が適度な値であることなどが実験の成否に深く関わる課題であることが示唆された。そこで二層膜試料の組み合せとしては、当初計画に限定せずになるべく幅広く取り組み、期待される現象の最も効果的な観測を今後試みる予定である。 3.マイクロ波吸収の実験に関してはTl系高温超伝導体を中心として測定を行い、この手法の有効性を示すことができた。不可逆線のスケ-リング則の実験およびBi・Y系高温超伝導体との比較からは、Yー123系が基本的には3次元的な超伝導体と考えられるのに対して、Biー2223やTlー2223系の超伝導が非常に2次元性の高いものであることが分った。また、残留吸収の実験からはピン止めされた磁束の緩和が時間の対数に依存して生じることや、ピン止めポテンシャルの値がより直接的に評価できることが示された。さらにピン止めポテンシャルの磁場依存性が不可逆線のスケ-リング則とコンシステントであり、2次元系に特有と思われるB^<-1/2>なる依存性を示すことが分かった。今後はさらに、Y系についても詳しい測定を行い、超伝導の次元性と外来金属の効果との相関などについても焦点を当てていきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Akihiko Nishida: "Scaling Behavior in the Irreversibility of Tl_2Ba_2Ca_2Cu_3O_<10> Superconductors Investigated through Microwave Absorption" Solid State Communications. 79. 259-263 (1991)
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[Publications] Akihiko Nishida: "Flux Pinning and Logarithmic Relaxation of Microwave Remanent Absorption in Superconducting Tl_2Ba_2Ca_2Cu_3O_<10>" Physica C. 185-189. 2153-2154 (1991)
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[Publications] Akihiko Nishida: "Fabrication of a Simple Resistivity Cryostat and Measurements on High-T_C Copper Oxide Superconductors" Fukuoka University Science Reports. (1992)