1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650026
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
奥野 公夫 長崎総合科学大学, 工学部, 助教授 (40103395)
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Keywords | Pd / 薄膜 / 単原子層 / 成長層 / 上層 / 疑似形態 / 電界イオン顕微鏡 / 電界電子放射顕微鏡 |
Research Abstract |
エレクトロニクスデバイスの極微細化構造と共に,一原子レベルの原子挙動の情報が必要不可欠である。当研究では金属(M;W,Mo,Ta,Nb)表面上に異種金属Pdを≦10 Torr中で真空蒸着し,PdのSubmonolayerから蒸着質固有の成長層が形成される迄の原子配列構造について,一原子分効能電界イオン顕微鏡(FIM)法により調べられている。観察手法は[011]方位針状試料(W,Mo,Ta,Nb)表面上に数十原子層のPdを低温で真空蒸着させた後,蒸着層を乱さず最表面層から静的に一原子層毎,界面を経て下地原子面が現れるまで電界蒸発法により剥ぎ取りながら,その都度Pd蒸着層の原子配列構造が観察された。 (1)下地原子面に直接接触している1〜2Pd原子層は何れの下地原子面(011),(111),(112)上でも,下地の原子配列構造と全く同じFIM像が観察される。すなわち疑似形態層が形成されており低温下でも観察された。Pd蒸着層のうち疑似形態層の下地面に対する結合力は最も安定で,仕事関数は最大値を示す。 (2)更に,疑似形態層の蒸発電界強度は下地原子種の蒸発電界強度に強く支配されており,もはやPd固有の値(3.4V/A)を示さない。すなわち,下地W(011),Mo(011)の表面原子の蒸発電界強度が5.7V/A,5.0V/Aに対して,Pd単原子層の疑似形態層の蒸発電界強度は5.2V/A,4.6V/Aである様に,下地の蒸発電界強度よりも僅か低い(△F≦0.5V/A)。 (3)bcc構造の最密面Mo(011)表面上のfcc構造のPd固有の上層は水素イメ-ジに依り,最も安定な1〜2層疑似形態層を介して形成されており,その成長(111)方位で成長している{Pd(111)||Mo(011)}。これらの結晶学的関係は,下地W,Ta表面上のPdに於も観察された。
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