1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650443
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橘 治国 北海道大学, 工学部, 助手 (90002021)
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Keywords | 積雪 / 融雪 / 懸濁物質 / 環境汚染 / 水域汚染制御 |
Research Abstract |
1.研究目的 北国においては、降雪や積雪の汚染とその自然環境への影響が深刻な社会問題となりつつある。本研究では、水域環境の汚染制御あるいは水資源としての降雪利用という立場から、降雪と積雪の汚染の実態と汚染機構さらに汚染物質の融雪水への輸送(流出)機構を明かにし、さらに汚染制御方法や汚染の生態系への影響を評価する。 2.研究計画と本年度の実績 研究は、積雪汚染の化学分析手法の開発およびこれまでの採取試料に基づく汚染の概況把握などの室内実験と、現況把握のためのフィ-ルド調査、そして総合的な解析に区分できる。本年度の実績と今後の計画を以下に記す。 (1)積雪の化学分析 積雪の汚染物質は主に懸濁態である。そこで懸濁物質の組成を明らかにできる、粒度分布、金属成分の形態分画、C・N元素分析などの分析体制を整えた。 (2)汚染の概況把握 これまで採取しておいた試料中(札幌市内積雪、)の懸濁物質について、その含量と前述の化学分析を行った。自然雪に比較して都市の汚染雪には、大量の懸濁物質が含まれ、また人為起源の化学成分含量(酸可溶性金属やC・N含量)の高いことが明らとなった。また汚染雪の粒径が大きく、道路粉塵や都市内人為的廃棄物の特徴として認められた。 (3)フィ-ルド調査 来年度の本調査の予備として、札幌市内(道路、歩道、雪捨て場、1992年2月22日)、山林(北海道大学演習林簾舞試験地1992年3月5日)、石狩平野月形湿原(1992年2月29日)で雪を採取し、汚染状況を現在調査中である。 (4)今後の計画 (本年度)積雪期間中に大量に雪を採取し、融雪時の化学変化を検討する。(平成4年度)融雪の水域への影響をフィ-ルド調査で明かにし、本年度の成果を併せて積雪汚染制御方法や汚染の生態系への影響について検討する。
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[Publications] 橘 治国: "氷雪中の固形物質と環境影響" 寒地技術シンポジウム '91講演論文集. 7. 448-453 (1991)
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[Publications] 原 文宏: "雪捨場の現状と管理" 寒地技術シンポジウム '91講演論文集. 7. 440-447 (1991)
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[Publications] 阿部 正明: "都市における除・排雪と環境保全" 寒地技術シンポジウム '91講演論文集. 7. 435-439 (1991)
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[Publications] 橘 治国: "都市域における積雪汚染と水域汚染防止" 日本陸水学会講演要旨集. 56. 145 (1991)