1992 Fiscal Year Annual Research Report
生理機能への影響を考慮した高齢者の快適な住宅温熱環境設定のための実験的研究
Project/Area Number |
03650481
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Research Institution | The Institute of Public Health |
Principal Investigator |
大中 忠勝 国立公衆衛生院, 生理衛生学部, 主任研究官 (20112716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 和代 通産省工業技術院, 生命工学工業技術研究所, 研究員
栃原 裕 国立公衆衛生院, 生理衛生学部, 室長 (50095907)
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Keywords | 高齢者 / 快適温度 / 生理機能 / 選択反応 / 睡眠 |
Research Abstract |
本年度は、以下の2つの実験研究を実施した。 1.寒冷曝露後の快適な暖房条件設定値の検討 63〜73歳の女子高齢者8名(高齢群)と19〜27の女子若年者9名(若年群)を対象に、寒冷曝露後の快適温度を被検者が快適となるように室温を制御する方法で調査した。実験は、常温室(気温25℃)に10分間、その後、30分間、常温(25℃)もしくは寒冷(10℃)に曝露させ、再び常温室に戻り90分間滞在させた。その間、室温の制御を手元のスイッチで行わせた。実験期間中、暑くて不快を感じた時にスイッチを逆の方向へ倒したときの室温(最高温度)、寒くて不快を感じた時にスイッチを逆の方向へ倒したときの室温(最低温度)が記録され、最高と最低温度の中央値を快適温度と定義し、高齢者の快適温度が若年者と比較検討され、以下の結果が得られた。 1)中央温度は、常温曝露後、高齢群は25.7±1.1℃(平均値±標準偏差)、若年者は25.9±0.9℃、寒冷曝露後、高齢者は27.5±2.9℃、若年者は26.0±1.5℃、若年者では曝露条件間でほとんど差が認められなかったが、高齢者では高い温度を快適とした。 2)高齢者では最低温度、最高温度、中央温度すべてにおいて、個人差が大きかった。 2.暑熱時(夏季)の寝室の快適な温熱環境の検討 高齢者の睡眠に及ぼす室温の影響を調べるため、67〜82歳の高齢者20名と20〜21歳の若年者20名の睡眠の体動を夏期に(7〜8月)において、各被検者の住居で測定した。同時に室温、寝床内温度を測定した。睡眠中の体動と室温との関係について検討し、以下の結果を得た。 1)測定期間中の室温は28℃前後であり、睡眠に好適とされる温度範囲外であった。 2)寝床内温度は、室温と正の相関関係にあり、室温よりやや高い値であった。 3)体動数は高齢鋳において若年者より有意に高い値であった。 4)体動数は室温と有意な正の相関関係にあり、特に高齢者では室温26℃付近で体動数が増加する傾向にあった。一方、若年者では高齢者よりやや高い室温で体動数は増加した。
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