1991 Fiscal Year Annual Research Report
働く女性のためのサ-ビス付き集合住宅計画に関する研究
Project/Area Number |
03650491
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野口 美智子 京都大学, 工学部, 教務職員 (60101234)
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Keywords | 働く女性 / サ-ビス付き集合住宅 / 家事労働 / アパ-トメントホテル / コレクティブハウス / S.P.ギルマン / A.ミュルダ-ル / 住要求 |
Research Abstract |
働く女性のためのサ-ビス付き集合住宅に関する欧米の先進事例の文献研究の結果、以下のことが明かとなった。 働く女性のためのサ-ビス付き集合住宅に対する要求は古く、アメリカ合衆国では3世代前、つまり、100年前に遡る。産業革命により、それまで家事労働従事者(メイド)として働いていた女性が工場労働者になるにつれて、中産階級におけるメイド不足が深刻となっていく。また、女性の教育水準が向上するにつれて、専門職として職業に就く女性も増えてきた。家事労働をいかに合理的に効率的にこなしていったらいいか、というさまざまな実験がなされていった。その中のひとつとして、S.P.ギルマンが提唱したサ-ビス付アパ-トメントホテルが1890年代から1930年代にかけてアメリカ合衆国の主要都市部に建設されていった。 1930年代のスウェ-デンでは、男女平等、福祉国家建設めざし、女性も就業できるように様々な改革が行われ、働く女性の生活環境を保障するための最適な住居として、数多くのサ-ビス付き集合住宅「コレクティブハウス」が建設された。中でも、A.ミュルダ-ル、S.マルケリウスの設計した、オフィス空間、食事サ-ビス、保育施設が付属している57戸のコレクティブハウスは高く評価されている。 1920年代の旧ソビエト連邦では、女性も社会的労働に就くべきであるという思想のもとに保育施設、食堂、娯楽施設付の共働きのためのコレクティブハウスが建設されたが、建設数は少なく、その後はサ-ビス施設のない集合住宅が大量供給された。英国、フランス、ドイツでも幾多の事例が報告されている。欧米とは、子育てや食生活などの文化や価値観の異なるわが国におけるサ-ビス付き集合住宅とはいかなるものが適しているのか、働く女性の生活要求、住要求を目下調査中である。
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Research Products
(1 results)