1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650497
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
村田 明久 長崎総合科学大学, 工学部, 助教授 (40113253)
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Keywords | 近代都市計画 / 港湾都市 / 開港 / 鉄道 / 税関 |
Research Abstract |
明治32年の統一貿易港28巻のうち文献調査および20港の実地調査を完了し、九州地区全域の港町についてはほぼ全容を調べた。埋立、施設の測量地図への落とし込みにより時代変化を検討した。この結果、各地とも港の変化は著しいが初期の港湾部分は現地確認できる程度に残存しているケ-スが多いことが判明した。研究によって得られた新たな知見等の成果として以下の4点があった。1.明治40年以降になると重要な港湾については修築計画が樹立され港湾調査会等の業績に見るべきものがある。これ以前の港湾は政府主導の外国人による調査計画が行われている反面、大半は地域独自の建設計画にゆだねられて全体として多様な港湾の建設タイプのあることが判明した。港の成長には都市立地、後背後、鉄道等の条件が大きく左右している。2.明治40年までは近代港湾史の上でも未整理で、当時の資料を収集していく段階で未発表の資料が見られた。3.港湾と鉄道との都市計画的繋がりが課題とされた結果、各港の港湾部と都市部が分離しはじめた。大型船舶が接岸できる外港の建設や港接近のための整備によって、既存の都市が飛躍的に拡大し、都市軸の整備、都心の移動や、市域の拡大現象等が起こっている。4.九州において集中する開港場は、周辺諸国との関連や石炭等の原材料の搬出の便利さが立地要因となった(建築学会九州支部研究報告で発表)。明治32年の開港場については、その後の盛衰が著しく多様な建設タイプのあることが確認された。今後の展開としては、港湾部と都市部の相互関係、都市の空間構成、空間変化など点から開港都市の類型化作業をすすめ、開港場の都市計画手法として検討することを課題としている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 村田 明久: "明治期の九州における特別輸出港の都市形成について その1.都市構成の成立と発展" 日本建築学会研究報告九州支部計画系. 第33号・3. 257-260 (1992)
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[Publications] 松尾 有平: "明治期の九州における特別輸出港の都市形成について その2.明治時代の施設分布についての考察" 日本建築学会研究報告九州支部計画系. 第33号・3. 261-264 (1992)