1991 Fiscal Year Annual Research Report
非ホフマイスタ-型陰イオン分離素材開発に関する基礎研究
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03650607
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
城 昭典 熊本大学, 工学部, 助教授 (40038047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋渡 勇雄 熊本大学, 工学部, 助手 (00228850)
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Keywords | ホフマイスタ-系列 / 陰イオンキャリヤ- / 液状陰イオン交換体 / キレ-ト樹脂 / 陰イオン交換体 / 陰イオン交換樹脂 |
Research Abstract |
1.dioxocyclamにピリジルエチル基、オクタデシル基などを導入した配位子のコバルト(III)錯体を合成するとともに、新たにdioxocyclamの二個のアミン窒素原子にベンジル基などを導入した配位子を合成した。 2.ピリジルエチル基を導入したdioxocyclamのコバルト(III)錯体の単結晶X線構造解析の精密化を行うとともに、テトラフェニルポルフィリンのモリブデン(V)錯体のフッ化物塩の構造決定を行った。これらの構造解析の結果より、錯体に親油性を付与する置換基が軸方向陰イオン交換反応を阻害しないなどの非ホフマイスタ-型陰イオン吸着素材開発に関する有用な構造化学的知見が得られた。 3.dioxocyclamのジベンジル誘導体などについて、pH滴定法による酸解離定数ならびに錯形成定数を測定したところアミン窒素原子に置換基を導入すると錯体の安定度が減少することが判った。また伝導度滴定法により各種金属錯陽イオンと陰イオンの会合状態を検討した結果、中心金属チオシアン酸イオンなどの特定陰イオンとの会合は、古典的陰イオン交換体における会合より格段に強いことが明らかになった。 4.電子スペクトル(吸光光度)法によりdioxocyclamのコバルト(III)錯体と亜硝酸イオンなどとの会合を検討し、この錯体の中心金属イオンと亜硝酸イオンなどとの結合力は強く、中心金属はこれら陰イオンを2分子まで配位可能であることが判った。 5.Dioxocyclamを固定化したキレ-ト樹脂を合成するとともに、コバルト(III)の担持法を開発した。このコバルト(III)担持樹脂は過剰の硝酸イオン、塩化物イオンの共存下でも亜硝酸イオンに強い吸着力を示し、非ホフマイスタ-型陰イオン吸着素材開発に有望な見通しを得ることができた。
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[Publications] Akinori Jyo: "Separation and Analysis of Anions Based on Anion Carriers" Analytical Sciences Vol.7 Supplement,1991. 7. 69-70 (1991)
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[Publications] Akinori Jyo: "Chelating Resins Containing 1,4,8,11ーTetraazacyclotetradecaneー5,7ーdione Based on Crosslinked Copolymer Beads of Macroreticular Type" Analytical Sciences. 8. (1992)
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[Publications] 城 昭典: "重金属汚染とキレ-ト樹脂による浄化" 工業材料. 39. 51-57 (1991)