1992 Fiscal Year Annual Research Report
炭化ケイ素ウイスカー強化ムライト系複合セラミックス開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
03650628
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
芦塚 正博 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60006046)
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Keywords | ムライト / 炭化ケイ素ウイスカー / 複合材料 / 分散剤 / 曲げ強度 / 破壊靭性値 / 高靭性化機構 / 荷重転移 |
Research Abstract |
1.溶媒中でのセラミックス粉末及びSiCウイスカーの分散 エチルアルコールを溶媒とした場合のムライト、SiCウイスカーの分散状態を沈降実験で検討した。 ムライトはエタノール中では良好な分散を示し、アクリル酸オリゴマー系分散剤を添加しても、ほとんど影響がなかった。 一方、SiCウイスカーのエタノール中での分散は悪かったが、分散剤を添加することにより改善された。 2.原料の混合法および原料粉末の乾燥法と複合材料の微視的構造の関係 昨年度、明らかにした水溶液を溶媒とした場合の良好な分散条件、および本年度、明らかにしたエタノールを溶媒とした場合の良好な分散条件で作製したスラリーを乾燥して得られた混合粉末をホットプレスして焼結体試料を作製した。 試料の微構造観察および強度を測定することにより、試料作製法と強度の関係を検討した。 分散剤を添加した水溶液を溶媒として凍結乾燥法で得られた粉末を使用した場合も、分散剤を添加したエタノールを溶媒としてロータリー・エバポレーターで乾燥して得られた粉末を使用した場合も、高い密度の試料(1650℃で作製)が得られたが、測定強度はエタノールを溶媒とした方が高かった。 3.曲げ強度および破壊靭性値の測定 曲げ強度および破壊靭性値に対する、ウイスカー径を変化させた場合(0.5および1.1μm)およびウイカスーをカーボンでコーティングした場合の影響を検討した。 強度は、ムライトのみの場合の332MPaからSiCウイスカー(直径:0.5μm)を20vol%添加で514MPa、30vol%添加で527MPaと増加した。 ウイスカーの径を1.1μmへ大きくしても強度への影響はほとんど認められなかった。 ウイスカーをカーボンでコーティングすると20vol%添加で、480MPaと強度は僅かに低下した。 破壊靭性値はムライトのみの場合の2.14MPa・m^<1/2>からSiCウイスカー(直径:0.5μm)を20vol%添加で4.57MPa・m^<1/2>、30vol%添加で5.93MPa・m^<1/2>へと増加した。 ウイスカーの径を変化しても、ウイスカーをカーボンでコーティングしても破壊靭性値には顕著な影響を与えなかった。 これらの結果を総合して、強靭性化機構を荷重転移と結論付けた。
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