1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03650683
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松村 秀一 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30051874)
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Keywords | 生分解 / ポリマ- / ポリカルボン酸塩 / ビニルアルコ-ル / 多糖 / ジカルボキシル化多糖 / 糖加水分解酵素 / ビニルアルコ-ルコポリマ- |
Research Abstract |
生分解性を有する機能性高分子電解質の設計として,高分子量ポリカルボン酸鎖中に生分解性部分として糖鎖及びビニルアルコ-ル連鎖を組み込んだ構造を有するものを各種合成し,生分解性の評価を行った。その際,生分解性部分は環境中に普遍的に存在する微生物によって産生される菌体外酵素の基質となり,開裂を受ける様なものでなければならず,糖鎖及びビニルアルコ-ル連鎖を用いた場合,ある一定鎖長以上を有するブロックでなければならないことが明らかとなった。すなわち生分解性部分に糖鎖を有するものとして,各種多糖を過ヨウ素酸ナトリウム/亜塩素酸ナトリウムを用いて部分的にジカルボキシル化を行うことにより得られたものについて,各種糖加水分解酵素を用いて検討を行った結果,グルコ-スのα(1→4)連鎖ではαーアミラ-ゼにより12個以上の連鎖で,キシロ-スのβ(1→4)連鎖ではキシラナ-ゼによる8個以上で,またガラクツロン酸のα(1→4)連鎖ではペクチナ-ゼにより13個以上の糖連鎖部分で切断が生じていることが推定された。同様に、各種ビニルアルコ-ル連鎖を有するポリ[(ビニルアルコ-ル)ー10ー(アクリル酸ナトリウム)]を,重合に際して可能な限り転化率を下げることにより分子種が一定に近いものを系統的に合成し,ビニルアルコ-ル分解菌を用いて検討を行った。その結果,ビニルアルコ-ル連鎖がポリカルボン酸鎖中でポリビニルアルコ-ル分解酵素の基質となり,切断を受けるためには,ビニルアルコ-ルが5個程度の連鎖が必要であることが認められた。しかしビニルアルコ-ルの連鎖部分を考えた場合,ヒドロキシル基を有する炭素は不斉となっていることから,今後はビニルアルコ-ル連鎖を有機合成化学的にキラルなものを合成し,ビニルアルコ-ル分解酵素の基質となり得る最小ユニットを決定する必要があるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)