1992 Fiscal Year Annual Research Report
ホウケイ酸ガラスから調製した多孔質ガラスの分子形状選択性
Project/Area Number |
03650788
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Research Institution | KAGOSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 武重 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20041543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 敬美 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (00177312)
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Keywords | ホウケイ酸ガラス / 多孔性ガラス / 触楳担体 / ニッケル触楳 / オレフィン水素化反応 / 細孔径制御 / 形状選択性 |
Research Abstract |
所定量のアルミナを混合したホウケイ酸ガラスをあらかじめ定められた方法で、熱処理及び酸処理を行い、多孔性ガラスにした。このガラスに5%のニッケルを担持させて、分子量が同一であるが、平均分子径が異なる1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン及びネオヘキセンの水素化反応を固定層触楳反応装置を使用して行い、反応速度を求めた。この相対速度とホウケイ酸ガラス中のアルミナ含量との関係を求めたところ、アルミナ含量が2%以下のホウケイ酸ガラスから調製した多孔性ガラスを担体としたときには、この3つの化合物の間には差がないが、3%になるとネオヘキン>4-メチル-1-ペンテン>1-ヘキセンの順序になり、特にその差はアルミ含量の増加とともに増大することが分かった。また、前年度測定したアルミナ含量と細孔分布の関係より、アルミナ含量2%以下のガラスでは、平均細孔径が30オングストロームであるが、これがアルミナ含量と共に徐々に減少し、4%では15オングストロームになった。 ゼオライトのように、細孔径が8オングストローム程度であれば、1-ヘキセンの反応速度が最大となり、ネオヘキセンのそれが最小になるのであるが、今回のガラス担体を使用したときはその逆になった。この結果から、細孔径が分子径のそれよりも3倍程度大きくなる場合には、球に近い形状をした分子の反応速度が大きくなることが分かった。このような実験事実は、細孔径が本研究に使用した多孔性ガラスのそれと同じになる物質がなかったために知られていなかった。 吸着速度から計算した反応物質の拡散速度もこの結果を支持するものであった。このように、今回使用した多孔性ガラスは、形状選択性を示す有効な触楳担体として応用することが可能であることが明らかになった。
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