1991 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞の膜酵素機能に対する外部電場効果に関する研究
Project/Area Number |
03660068
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角谷 忠昭 京都大学, 農学部, 助教授 (50026580)
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Keywords | 植物細胞 / 原形質膜 / 膜酵素 / イオンチャンネル / 電場効果 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
赤血球細胞を交流電場下におくとK^+,Na^+イオンの膜輸送速度は増大し,しかもこの電場効果は特定の交流周波数で最大となる周波数共鳴現象を示した。この電場効果は膜結合酵素(Na^+,K^+ーATPase)分子が電場エネルギ-を吸収してそのコンホメ-ション状態を変化し,最終的に酵素活性が変化するというelectroconformational coupling理論によって説明されている。本研究では外部電場による植物電場による植物の細胞の生理機能の制御改変の可能性を明らかにするため,植物細胞の原形質膜・液胞膜のH^+ーATPaseに焦点を当てそれらのインビボ酵素活性をパッチクランプ法によって測定し,その酵素活性に及ぼす外部電場の効果を明らかにすることを目的とした。 本年度は,(1)いくつかの植物細胞(大麦葉肉細胞,ソラマメ孔辺細胞,ムラサキ培養細胞,タバコ培養細胞)のプロトプラストについて,パッチクランプ測定が比較的容易な系を選び出すこと,(2)測定の比較的容易な系について原形質膜イオンチャンネルおよびH^+ポンプ(H^+ーATPase)の特性を明らかにし,H^+ーATPaseによるH^+電流のみの測定が可能な条件を明らかにすること,(3)H^+ポンプ活性の有力な実験的示標となる膜電位の測定法の確立を目的として次のような成果を得た。(1)大麦葉肉プロトプラスト,タバコ培養細胞プロトプラストは他と比べ安定したギガシ-ルがより容易に形成されパッチクランプ測定が可能であることがわかった。(2)タバコ培養細胞原形質膜では,K^+イオン選択性の外向き整流作用をもつイオンチャンネルが見い出され,その諸性質を明らかにした。大麦葉肉細胞の場合,数種類の特性の異なるイオンチャンネルが見い出されたが,それらの検出確率は極めて低く充分なデ-タは得られていない。(3)シアニン色素を蛍光プロ-ブとして用いる膜電位測定法について,その基礎となる定量的理論式を導き,プロトプラストを用いてそれらの理論式を実験的に検証した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 角谷 忠昭: "The fluorescent probe method using cyanine dyefor defermination of the membrane Potential in cells" Bioelectrochemistry and Bioenergetics.
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[Publications] 村田 芳行: "Characterization of ion channels in the plasma membrane of tobacco cultured cell" Plant and Cell Physiology.