1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の成長・分化におけるインスリン様式長因子Iと他のホルモンとの相乗作用機構
Project/Area Number |
03660078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸一郎 東京大学, 農学部, 助教授 (00197146)
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Keywords | インスリン様成長因子I / チロシンリン酸化 / 甲状腺刺激ホルモン / サイクリックAMP / FRTL-5細胞 / タンパク質合成 / DNA合成 |
Research Abstract |
ラット甲状腺由来FRTL-5細胞において、cAMP細胞内情報伝達経路は刺激するTSHとチロシンキナーゼ細胞内情報伝達経路を刺激するIGF-Iは、それぞれDNA合成あるいはタンパク質合成を促進したが、これらを同時に添加するとDNA合成ばかりでなくタンパク質合成をも相乗的に増強することが明らかとなった。これらの現象を更に詳細に解析するため、FRTL-5細胞をTSHあるいはIGF-Iで24時間前処理し、その後再び同じあるいは異なるホルモンで細胞を処理しDNA合成量およびタンパク質合成量を測定した。その結果、TSH処理後IGF-Iで処理した場合にのみDNA合成が相乗的に増強するのに対して、タンパク質合成の相乗的な増強はIGF-Iで前処理した後TSHで処理した際にのみ観察され、DNA合成とタンパク質合成の相乗的増強は異なる機構で引き起こされることがわかった。 続いて、DNA合成の相乗的増強に重要な役割を果たしていると考えられるチロシンリン酸化タンパク質の精製を試みた。大量に培養したFRTL-5細胞をBt_2cAMPで48時間前処理後、IGF-Iを添加し5分後にTriton-X100および種々のホスファーターゼ阻害剤・プロテアーゼ阻害剤を含む緩衝液で収護した。この細胞抽出液中のチロシンリン酸化タンパク質を抗ホスホチロシン抗体を用いたimmunoblotting法で調ベたところ、Bt_2cAMP前処理によりIGF-I依存性チロシンリン酸化が増強されるpp175、およびBt_2前処理によりチロシンリン酸化が増加するpp125の存在が確認された。そこで、DEAE-陰イオンクロマトグラフィー、抗ホスホチロシン抗体アフィニティークロマトグラフィー、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動を用いて、特にpp175を単離・精製を行った。さらに、ラット臓器を原料としてこれらのキナーゼ基質の精製を行うために、部分精製したIGF-Iレセプターを用いたin vitroリン酸化アッセイ系を構築した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.-I.Takahashi: "“Thyrotropin induction of tyrosine kinases in FRTL-5 cells"" Endocrinology.
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[Publications] S.-I.Takahashi: "“Thyrotropin potentiation of insulin-like growth factor-I dependent protein synthesis in FRTL-5 cells"" Biosci.Biotech.Biochem.