1992 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞におけるClイオン動態とその病態生理学的意義
Project/Area Number |
03670086
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Research Institution | School of Medicine, Chiba University |
Principal Investigator |
中谷 晴昭 千葉大学, 医学部, 教授 (60113594)
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Keywords | Cl^-チャネル / 心筋細胞 / 低浸透圧性膨化 / 静止膜脱分極 / β受容体刺激 / Cl^-チャネル遮断薬 / 細胞内Cl^-活動度 / 細胞内K^+活動度 |
Research Abstract |
心筋細胞を膨化させた時Cl^-電流が活性化するか否か、また、そのCl^-電流の従来報告されているβ受容体刺激によって活性化するものとの異同を検討するため以下の実験を行なった。コラゲナーゼによって分離したモルモット単一心室筋細胞を67%の浸透圧液に5分間曝すと、短径が20±2μmから9.6±1.4%、長径は115±7μmから1.0±0.2%、体積は41±7plから21.6±3.3%増加した。これらの変化は可逆的であり、等張性潅流液に戻すと対照時の細胞径に回復した。摘出モルモット乳頭筋をK^+を一定とし、他の成分を希釈して67%の浸透圧液で10分間潅流すると活動電位幅が短縮し、静止膜電位が減少した。また、静止張力の増加と共に発生張力は増加した。静止標本においても静止膜電位は11.5±0.4mV脱分極させ、これに対し、4,4′-diisothiocyanatostilbene-2,2′-disulfonic acid(DIDS)1mMおよび4-acetoamido-4´-isothiocyanatostilbene-2,2′-disulfonic acid(SITS)1mMは有意の抑制作用を示したがanthracene-9-carboxylic acid(9AC)1mMは有意の抑制作用を示さなかった。モルモット静止乳頭筋標本において1μMのisoproterenolでβ_1受容体を刺激すると静止膜電位は-91.1±1.4mVから-82.1±1.8mVへと脱分極し、細胞内Cl^-活動度(a^i_<Cl>)は32.1±7.8mMから23.1±6.0mMへと減少した。このβ_1受容体を介する脱分極およびa^i_<Cl>の減少に対し1mMの9ACは抑制作用を示したが1mMのDIDSは抑制作用を示さず、低浸透圧性脱分極と好対照をなしていた。また、モルモット静止乳頭筋標本において上記低浸透圧で潅流するとa^i_<Cl>は46±5%減少し、細胞内K^+活動度(a^i_K)の減少度(26±3%)より有意に大きかった。この様に低浸透圧液により心筋細胞が膨化する際DIDSおよびSITS感受性のCl^-チャネルが開口し、静止膜脱分極が起きるがそのCl^-チャネルはβ受容体刺激によって開口するCl^-チャネルとは異なった種類であることが示唆された。
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[Publications] Satoru Shida: "Effects of Cl^- channel blockers on β-adrenoceptor-mediated decreases in resting potential and intracellular Cl^- acvity in guinea-pig heart" European Journal of Pharmacology. 212. 267-270 (1992)
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[Publications] Haruaki Nakaya: "Effects of Cl^- channel blockers on the membrane depolarization induced by hypotonic solution in guinea-pig papillary muscles" Japanese Journal of Pharmacology. 58(Suppl.). 186 (1992)