1991 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経節におけるコリン性伝達に対するendothelinの抑制作用機構
| Project/Area Number |
03670113
|
|---|
| Research Institution | Fukuoka University |
|---|
Principal Investigator |
櫛来 和司 福岡大学, 医学部, 助手 (40078712)
|
|---|
| Keywords | エンドセリンー3 / 交感神経節 / 節後神経 / Ca^<2+>依存性K^+チャネル |
|---|
| Research Abstract |
1)目的
endothelinは中枢神経系、脊髄後根神経節や星状神経節等の神経組織にも存在が明らかにされ、さらにその同族体であるendothelinー3は、脳および脊髄に高濃度存在し、神経系に特異的なendothelinと言われている。そこで本研究では、endothelinー3の交感神経節伝達への作用を検討した。
2)方法
pentobarbital麻酔イヌで人工呼吸下に脊髄を切断し、心臓交感神経節への薬物の投与には、右側上腕動脈からポリエスチレンカテ-テルを先端が右側内乳動脈と鎖骨下動脈の分岐点にくるようにして挿入・固定し、これより薬液を0.1mlで動注した。心拍数の変化を節機能の指標とした。
3)結果
星状神経節節前刺激(0.25ー4Hz)、DMPP(1ー4μg)、およびMcNーAー343(0.5ー2μg)の節投与による拍数増加作用は、endothelinー3(0.5ー2μg)により用量依存的に抑制された。この節興奮の抑制は、cyclooxygenase阻害薬のindomethacin(5mg/kg)の静注、電位依存性Ca^<2+>およびK^+チャネル遮断薬であるnifedipine(1mg)および4ーaminopyridine(0.5mg)で影響されず、またCa^<2+>依存性K^+チャネル遮断薬では、charybdotoxin(10μg)では無影響だが、apamin(30μg)およびdーtubocurarine(0.5mg)で拮抗された。従って、endothelinー3は節後神経細胞膜のCa^<2+>依存性K^+チャネルを活性化させることによって膜の過分極を促し、後シナップス性に節伝達を抑制する。ひき続き、摘出星状神経節を用いた実験で、節前刺激によるacetylcholine遊離量がendothelinー3により用量依存的に減少し、この減少がphospholipase A_2阻害作用を有するdexamethasoneやindomethacin等で拮抗されることを見いだしており、次年度ではendothelinー3のシナプス前抑制作用機構の解明について検討を加える。
|
-
[Publications] Kazushi Kushiku: "Endothelin-3 inhibits ganglionic transmission at preganglionic sites through activation of endogenous thromboxane A_2 production in dog cardiac sympathetic ganglia." J.Cardiovasc.Pharmacol.17(Suppl). S197-S199 (1991)
-
[Publications] Kazushi Kushiku: "Possible involvement of ionotropic mechanisms in postsynaptic inhibition by endothelin-3 of ganglionic transmission in dog cardiac sympathetic ganglia." Japan.J.Pharmacol.55(Suppl). 242 (1991)
