1992 Fiscal Year Annual Research Report
Programmed cell death-カエルの変態での尾の退縮の分子機構
Project/Area Number |
03670134
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN INSTITUTE FOR NEUROSCIENCES |
Principal Investigator |
矢尾板 芳郎 (財)東京都神経科学総合研究所, 分子神経生物学研究部門, 副参事研究員 (00166472)
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Keywords | Programmed cell death / 変態 / Xenopus / 発生学 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
1.前年度の確立されたsubtraction libraryの手法を用いて、オタマジャクシの退縮中の尾に特異的に発現している遺伝子をクローニングした。10種類程の遺伝子が得られ、その発現様式から3つのグループに分類された。第1グループは脳、眼球、後肢、尾にすべてに発現しているものであり、尾の退縮が顕著になる第62段階に最大に発現されている。第2グループは後肢と尾に発現され、同様に第62段階でピークになる。第3グループは退縮している尾に特異的に発現されている。ステージが進むにつれて発現量が増加されるものと第62段階にピークを持つものに更に分類される。 2.変態前のオタマジャクシの尾から、甲状腺ホルモン非存在下で初代培養を始め、いくつかの継代培養可能な細胞株がいくつか得られた。そのうちの少なくとも1つ(12T-15)に、変態時に観察される血中量にほぼ同じ10nMの甲状腺ホルモンT3を添加すると、その細胞は1-2週間のうちに培養皿から死んで離れていく。培地に加えてある10%牛胎児血清を1%馬血清に代えて5日後、抗トロポニンT抗体で染色すると、強いシグナルを得た。このことは、この細胞が筋芽細胞由来であることを意味する。 3.退縮中の尾に特異的に誘導される遺伝子のうちで、細胞株12T-15を甲状腺ホルモンで処理して1日以内に誘導されるものは第3グループに属している1個の遺伝子だけであった。甲状腺ホルモン処理4時間後から甲状腺ホルモン受容体β遺伝子が発現され、8時間後からcloneT6-5-12のmRNAが増加していた。甲状腺ホルモン受容体α遺伝子は処理前から発現されていた。そのことから甲状腺ホルモンが既存の甲状腺ホルモン受容体αと結合して甲状腺ホルモン受容体β遺伝子を活性化し、甲状腺ホルモンと複合体を形成し、更にcloneT6-5-12の転写を開始させたと考えられる。その遺伝子の塩基配列を決定してホモロジー検索したが、何の類似性も得られていない。
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Research Products
(1 results)