1991 Fiscal Year Annual Research Report
膜結合型腫瘍壊死因子発現に基づく活性化マクロファ-ジ抗腫瘍機構の解析と臨床応用
Project/Area Number |
03670323
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
仁井 昌彦 徳島大学, 医学部, 助手 (10189227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 三郎 徳島大学, 医学部, 講師 (40145024)
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Keywords | マクロファ-ジ / 抗腫瘍活性 / 腫瘍壊死因子 / 膜型腫瘍壊死因子 / インタ-ロイキン・4 |
Research Abstract |
本年度はヒトマクロファ-ジにおける膜型腫瘍壊死因子(mTNF)発現を肺胞マクロファ-ジを用いて検討した。まず、細胞表面ラベルと免疫沈隆法によりヒト肺胞マクロファ-ジ表面に分子量26kDaのmTNFが発現していることを証明した。次に、TNF感受性細胞L929を用いてmTNFを特異的にまた高感度に検出しうる生物学的測定法を開発した。この測定法を用いての検討によりマクロファ-ジのmTNF発現は刺激後3時間という短時間でTNF分泌に先だって発現され、18時間まで接続し、以後急速に消失することがわかった。またmTNFはマクロファ-ジに抗腫瘍活性を誘導しうるサイトカイン刺激では発現がほとんど認められないが、リポ多糖など細菌菌体成分による刺激では強く発現されることからマクロファ-ジの抗腫瘍発現機構が活性化刺激の種類によって異なることが推測された。さらにmTNF発現はマクロファ-ジ前駆細胞である血中単球では微量しか発現されないが、in vitroで単球をマクロファ-ジに分化させることによってmTNF発現量が著明に増大したことより、mTNF発現能力はマクロファ-ジの分化と密接に関連したものであることが判明した。また、これらの解析過程においてリンパ球由来のサイトカインであるインタ-ロイキン(IL)ー4が肺胞マクロファ-ジのmTNF発現を著明に抑制するだけでなく肺胞マクロファ-ジのTNF分泌、抗腫瘍活性や、他にサイトカイン(ILー1、ILー6)産生、さらには活性酸素の産生も抑制することが判明した。現在、ILー4による抗腫瘍活性調節機序の詳細について解析を行っている。さらに、ILー4はリポ多糖で活性化されたマクロファ-ジのILー1産生は抑制するがILー1レセプタ-アンタゴニスト産生はかえって増強することを見いだし、その機序についても解析をすすめている。なお、今年度補助金は研究遂行のための消耗品購入に使用した。
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Research Products
(1 results)