1992 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール性肝障害の発生機序に関する免疫学的関与についての検討
Project/Area Number |
03670349
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
杉浦 信之 千葉大学, 医学部, 助手 (20226434)
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Keywords | アルコール性肝障害 / アセトアルデヒド付加物 / 細胞性免疫 / 細織障害性Tリンパ球 |
Research Abstract |
In vivoでの肝細胞表面にアセトアルデヒド付加物が出現するか否かを検討する目的で,pair feeding法に依り,C57B6マウスを2群(アルコール飼料投与群及び等カロリー非アルコール投与群)に分け,7日間,14日間,28日間投与群を作成して検討した。両群それぞれ投与期間終了後,コラゲナーゼ潅流法にて肝細胞を遊離し,既報のアセトアルデヒド付加物を認識する組織障害性Tリンに球との混合試験を行い,クロシウム流出率で判定した。投与期間7,14,28日群それぞれに対し,実験を行ったが,class1MHCのみ表出されており,アセトアルデヒド付加物は形成されていなかった。 次に,この事が,血中あるいは肝臓近傍でのアセトアルデヒド濃度が規定因子になっているか否かを検討する目的で,アセトアルデヒド脱水素酵素阻害剤であるサイアナマイドを腹腔内に投与したB6マウスを用いて同様のpair feedingを実施した。サイアナマイド投与群でpair feeding7日後,14日後,28日後,同様に遊離肝細胞に対し混合試験を行ったが,細胞障害性Tリンパ球が認識する様なアセトアルデヒド付加物は検出されなかった。 今回の実験においてアセトアルデヒド付加物が作成し得なかった事が,アルコール投与期間が短い為なのか,あるいは血中アセトアルデヒド濃度が低いなどの量的問題なのか,それとも,最近問題となっているアルコール性肝障害患者に認められる高C型肝炎ビールス保有率の様な,何か先行するウィルス感染が必要なのかについては今後の検討課題としたい。
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