1992 Fiscal Year Annual Research Report
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03670466
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
野間 健司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70130193)
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Keywords | 心不全 / 心収縮力 / ミオシンアイソエンザイム / ACE阻害剤 / 血管拡張剤 / プロスタグランディン |
Research Abstract |
雄性Wistar rat用いて一側腎動脈狭窄およびAVシャントによる心不全ラットを作成した。術後1ないし2週において十分な血圧の上昇が認められた後、それらを3群に分けた。A群にはprazosin30mg/LおよびISDN300mg/Lを、B群にはcaptopril1g/Lおよびindomethacin55mg/Lの濃度にてfree drinkingで投与した。C群は未治療群とした。12週間の薬剤投与において、A群では未治療群に比べて血圧低下傾向を認めたが、左室重量の低下は認められなかった。B群では未治療群に比べて一過性に降圧がみられたが、その後降圧効果は認められなくなり左室重量の低下も認めなかった。心収縮力は左室乳頭筋を用いてTyroid液にて潅流しながら0.2Hzの電気刺激によるisometric contractionにて評価した。その結果active tension、resting tensionともA、B、C3群間に差はなかった。発生張力に関する速度のパラメーターである^+dT/dtmaxおよび^-dT/dtmaxにおいても同様に差は認めなかった。左室myosin isoenzymeに関してもV1およびV3の比率に、A、B、C3群間に有意な変化を認めなかった。 これらの結果より心不全モデルラットにおいて、血管拡張剤を用いてafterloadおよびpreloadを低下させるだけでは、心不全予防効果としては十分ではないように思われた。またcaptoprilを投与した場合でも、indomethacinを併用してprostaglandinをブロックするとcaptoprilの効果が減弱したことより、ACE阻害剤の心不全予防効果発現のメカニズムにangiotensinIIに加えてprostaglandinが関与している可能性が示唆された。ただしindomethacinの投与中、両者をfree drinkingで与えたため、captoprilの投与量がやや低下したことを考慮する必要がある。今後投与方法を含め、心筋組織renin-angiotensin系に対するACE阻害剤の直接作用も検討する必要があると思われる。
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