1991 Fiscal Year Annual Research Report
熱性痙攣の成因,特に遺伝要因に関する神経生理学的研究
Project/Area Number |
03670493
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山磨 康子 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (50033444)
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Keywords | 熱性痙攣 / てんかん / 遺伝 / 痙攣素因 / てんかん素因 / 脳波 |
Research Abstract |
熱性痙攣における遺伝負因と脳波所見:熱性痙攣270例における狭義てんかん波検出率は72.2%に上り、単純性、複雑性およびてんかん性の3型に分類すると、痙攣性疾患の家族例は各々37.5%、46.7%48.3%の上率に認められた。熱性痙攣と無熱性大発作てんかんの基礎波を二次元脳電図で解析すると複雑性およびてんかん性熱性痙攣、および因熱性大発作てんかんでは43.3%ー53.7%の症例でθ波帯域の等確的電位が異常高値を示した。一方、単純性熱性痙攣では異常を認めず、複雑性あるいはてんかん性熱性痙攣とは病態生理を異にすると推測された。 てんかん患者の児における痙攣および脳波異常:てんかん患者48例の児79名を継時的に追跡したところ、12.6%で熱性痙攣、1.3%で1回の因熱性痙攣、5.1%で反復性無熱性痙攣、1.3%に頭部外傷後早期痙攣を認め、20.3%の高率に何等かの臨床発作をみた。狭義てんかん波の検出も21.5%に上ったが、その検出率は3歳以後著明に増加したため、3忙以上に達した48名に限れば45.8%の高率に達し注目された。臨床発作は22名中10名にみたにすぎず、てんかん波の多くはてんかん素因の表現と推測される。全般てんかん、特発性てんかんの親の児に臨床発作、脳波異常検出率ともに高かった。また親以外にも痙攣性疾患の家族歴のある遺伝要因の濃厚な群で高率であり、てんかんおよび熱性痙攣の発症には遺伝要因が重要であった。 以上、素因性脳波異常がてんかんおよび熱性痙攣の両者に認められ、てんかんと熱性痙攣が同一家系内に混在すること、単純性熱性痙攣にてんかんと関連した素因性異常に穎しいことを考慮すると、てんかん性熱性痙攣はてんかん素因と密接に関連するが、単純性熱性痙攣はてんかん素因とは異なる素因に基づいた特殊な一群と推測される。そこでてんかん素因とは別に痙攣素因の存在を想定し、今後この面の研究を継続したい。
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