1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670571
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
川北 幸男 大阪市立大学, 医学部, 教授 (80046820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 栄一 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40199104)
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Keywords | Elマウス / RNAポリメラ-ゼ / 転写 / 蛋白質キナ-ゼ / けいれん / てんかん / 発作 / mRNA |
Research Abstract |
先天性痙攣素因を有するElマウス脳について、メッセンジャ-RNAの転写に関与するRNAポリメラ-ゼとこの酵素のリン酸化を触媒する蛋白質キナ-ゼとについて検討した。脳より分離した細胞核を超音波処理し、クロマチン蛋白質を可溶化した。遠心により分離した上清を硫安処理して調製した分画を2分し、一方をDEAEセフアデックス・カラムを通し、RNAポリメラ-ゼを調製した。他方はホスホセルロ-ズ・カラムを用いて、蛋白質キナ-ゼを部分的に精製した。 1)RNAポリメラ-ゼの活性は、痙攣履歴のあるEl(+)と履歴のないEl(o)マウスとがともにddyマウスより有意に高かった。同様に、蛋白質キナ-ゼの活性もElマウスがddyマウスより高い活性を示した。 2)発育期において、生後14日ではRNAポリメラ-ゼと蛋白質キナ-ゼがともにddyマウスより有意な低値を示したが、生後21日以後では、逆にElマウスがddyマウスよりも高値となった。蛋白質キナ-ゼの活性は、生後21日と28日とで、Elとddyマウスとの間で有意差は認められなかったが、生後56日以後では、再びElマウスがddyマウスより低値となった。履歴獲得以前の生後14日の活性の差は、遺伝的素質によるものと推測される。 3)生後100日のElマウスにおける放り上げ刺激による発作では、RNAポリメラ-ゼ活性の低下は発作30分後で最大となるが、蛋白質キナ-ゼの活性はそれより早く、発作直前に最大の低下を示した。発作30分後におけるRNAポリメラ-ゼ画分に、発作間歇期の蛋白質キナ-ゼ画分を加えた場合、RNAポリメラ-ゼの活性は発作間歇期のレベルまで回復を示した。このことは、Elマウス脳のRNAポリメラ-ゼ活性の低下が、蛋白質キナ-ゼによるリン酸化によって増加し、正常まで回復することを示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mui K.et al.: "Sequence complexity of polyadenylated RNA from seizureーsusceptible El mouse brain polysomes." Epilepsy Research. 10. 134-141 (1991)
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[Publications] 中西 亜紀ら: "Elマウス脳におけるmRNAの翻訳活性" 神経化学. 30. 450-451 (1991)
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[Publications] 勝元 栄一ら: "Elマウス発作時における脳のcーfos mRNAの発現" 神経化学. 30. 452-453 (1991)
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[Publications] 片山 雅文ら: "Elマウスの発育期に伴う脳内βーエンドルフィン様免疫活性の変化" 神経化学. 30. 454-455 (1991)
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[Publications] Kioka T.et al: "Polyadenylate polymerase of seizureーprone El mouse brain." J.Neurochem.57. S70 (1991)
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[Publications] Yamagami S.: "Induction of cーfos mRNA expression of epileptogenic(El)mouse brain." J.Neurochem.57. S70 (1991)