1991 Fiscal Year Annual Research Report
重症急性膵炎における多臓器障害の合併機序の解明およびその対策
Project/Area Number |
03670638
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐竹 克介 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (70047033)
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Research Abstract |
重症急性膵炎時には末梢循環不全や腎障害などが合併し.その予後に大きく関与することが知られている。 今年度は,犬を用いて実験的重症急性膵炎を作成し,膵炎作成後の循環動態および腎組織血流量を測定し.さらに,これら膵炎犬に蛋白分解酵素阻害剤などの薬剤を投与し.その治療効果について検討した。 重症膵炎犬は主膵管にトリプシン加自家胆汁を高圧で注入して作成した。 重症膵炎犬では膵炎作成直後より血圧の著明な低下および心拍出量の低下がみられ,ショック状態に陥り.約半数は膵炎作成5時間以内に死亡した。一方,膵炎作成30分後に蛋白分解酵素阻害剤を投与すると,投与直後より血圧の改善および心拍出量の改善がみられ,その死亡率も減少した。また、膵炎時の末梢循環不全の悪化とともに血中βーendorphinの上昇がみられた。さらに,蛋白分解酵素阻害剤の投与によりβーendorphinの上昇が抑制され,同時に血圧の改善および心拍出量の改善がみられた。また.血圧の改善および心拍出量の改善は血中βーendorphinの上昇抑制の程度との関係がみられ,重症急性膵炎の末梢循環不全の一因としてβーendorphinの関与が示唆され,βーendorphinの遊離を抑制する蛋白分解酵素阻害剤の重症急性膵炎時の治療効果がみられた。 同様の膵炎犬を用いての腎組織血流量を測定すると膵炎作成直後より経時的な低下がみられ,重症膵炎時の腎障害の一因として腎組織血流量の低下の重要な役割を持ったと考えられた。これら膵炎犬にDopamin,蛋白分解酵素剤を投与することにより腎組織血流量の改善がみられ,これら薬剤の急性膵炎時の腎障害に対する治療効果が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Satake,SーS.Ha.,A.Hiura,H.Nishiwaki: "The therapeutic effect of a new synthetic protease inhibitor on hemodynamic changes during experimental pancreatitis in dogs." Gastroenterol.Jap.
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[Publications] H.Nishiwaki,K.Satake,A.Hiura,SーS.Ha,Z.Koh: "Renal microcirculation in experimental acute pancreatitis of dogs." Renal Failure.