1991 Fiscal Year Annual Research Report
光学的手法による膜電位変動を応用した肉腫化学療法感受性試験法の開発
Project/Area Number |
03670698
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
磯邉 靖 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90176264)
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Keywords | 評電位 / 膜電位依存性色素 / 神経芽細胞腫 / 骨肉腫 / メトトレキセ-ト / カルシウムイオン / 細胞浮遊液 / 葉酸 |
Research Abstract |
平成3年の本研究において、2種類の細胞株の細胞浮遊液を検討し得た。現在のところ、使用機器の関係上細胞浮遊液は3mlを必要としており、一試行当たりに要する細胞数が大量である点がネックであった。検討した細胞は当教室にて樹立したneuroblastoma株とosteosarcoma株で、2.7×10^8個/3ml/キュベットの濃度に調製し、膜電位依存性色素Disー3C5 3μ1を添加した。計測中はマイクロスタ-ラ-にて常時撹拌し続けた。蛍光分光光度計を用いた経時的観察により、室温では色素の取り込みは3〜5分間に急速におこるが赤血球のような無核細胞系と異なりその後も緩徐に取り込まれ続けることから細胞内の膜系へのredistributionが推測された。一方、緩序相においてはMTXの添加によって蛍光強度が減少した。蛍光強度の減少量とMTX濃度との関係はsigmoid curveを描くことが明かとなった。また血清添加の有無あるいはCa濃度によって膜電位変動の態様に差異が生ずることが示され、微小環境におけるCaイオン濃度が細胞膜の膜電位決定に重要な役割を持ち、MTXの種々のbiological effectsにもこのイオン濃度が影響を与え得ると考えられた。Ca濃度による膜電位の挙動は2種類の細胞間で差異が見られ、薬剤の生物学的効果が細胞ごとにあるいは病巣の局在部位によって異なっている事実を反映していると考えられ、本方法を化学療法感受性試験法へと展開し得るものと推察した。さらに、MTXは葉酸のanalogueであり、いずれを添加しても蛍光強度が減少することは薬理学的にも興味深いものである。なお、この細胞をシャ-レに付着した状態で別の膜電位依存性色素DiOC5(3)にて染色し、付着細胞機能分析装置ACAS570を用いてMTX添加後の蛍光強度が同様に変化する状態をモニタ-し得、浮遊状態の細胞の膜電位変動の傍証を得た。
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