1991 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜における銀好性細胞の出現とその本態に関する研究
Project/Area Number |
03670784
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 外幸 大阪大学, 医学部・産婦人科, 助教授 (50028552)
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Keywords | 子宮内膜癌 / 銀好性細胞 / 腸上皮化生 |
Research Abstract |
正常子宮内膜には銀好性細胞は極めて稀か,あるいは殆んど認められないとされているが,癌化によって約20%の頻度で出現する。このような銀好性細胞の子宮内膜癌における発現機序および生物学的意義についてはまだ充分解明されていない。本研究では出現機序について,腸上皮化生の立場について検討を加えた。 先づ第1に,サイトケラチン7は婦人科癌では陽性であるが,腸上皮癌では陰性であり,腺癌の鑑別に利用されると報告されているので,子宮内膜癌におけるサイトケラチン7の発現と銀好性細胞との相関を検討した。子宮内膜癌では,必ずしも銀好性細胞の出現に平行してサイトケラチン7が失われると云う結果は得られなかった。 次いで,レクチンとの反応性について,婦人科癌ではpeanut agglutinin(PNA)およびwheat germ agglutinin(WGA)の両者に反応するが,腸上皮癌ではWGAに反応しないと報告されているので,子宮内膜癌において銀好性細胞の有無との関係を検討すると,WGAとの反応性は必ずしも失われないことが判明した。 従ってこれらの研究結果からは,子宮内膜癌における銀好性細胞の出現は腸上皮化生によるとの考えは必ずしも支持されなかった。しかし,サイトケラチン7の消失,あるいはWGAとの反応性の陰性化が腸上皮化生の絶体的指標になり得るか否かには疑問もあり,今後,別の面からの検討が必要と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 上田 外幸,森脇 昭介,杉森 甫 編: "カルチノイド(好銀性顆粒を有する癌を含む)取り扱い規約に沿った腫瘍鑑別診断アトラス.子宮頸部" 文光堂,東京, 141 (1991)
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[Publications] Ueda,G.and Yamasaki M.: "Neuroendocrine carcinoma of the uterus.In:Current Topics in Pathology,ed.Sasano N" SpringerーVerlag,Berlin,