1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670797
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
安藤 良弥 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90145855)
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Research Abstract |
HTLVーI母児感染の防止策について検討してきた成績より、抗原陽性で抗体陰性であった児について、長期の追跡を行った結果2才において抗原陽性であった児は6〜8才においても抗原陽性であり、HTLVーIの消失は認めなかった。しかし、2才で抗原陽性抗体陰性の児においては、抗体陽性となった児はなく、また抗体陽性であった児については抗体の陰性化は認めなかった。このことより、幼児期におけるHTLVーI抗原と抗体の解離を認めた児の成長による解離の解消は認められず、この現象はさらに長年月持続すると考えられた。一方、成人女性において複数回HTVーI抗体の検索を受けた症例より、前回の検査時には陰性であったものが次回の検査で陽性になる割合は0.5%(10/2003)で、複数回検査を受けた例の中でしめる割合は8%(10/122)であった。この10例について検討すると、母親のみが陽性であった例は6例であり、HTLVーIの感染形態より考えこのような6例が、母児感染により幼児期に感染しても抗体陰性のまま推移し何らかの機転により抗体陽性に成ったものと思われる。以上のHTLVーIキャリア-より出生した児の追跡調査結果と成人における抗体陽転例の存在より、このような症例における感染源としての意味付けを明確にすることが重要であることが判明した。
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