1992 Fiscal Year Annual Research Report
副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体構造の解析と一次構造の決定
Project/Area Number |
03671146
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
深田 順一 京都大学, 医学部, 助手 (20189913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 宏正 京都大学, 医学部, 大学院生
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Keywords | 副腎皮質刺激ホルモン放出因子 / 受容体 |
Research Abstract |
副腎皮質刺激ホルモン放出因子corticotropin-releasing hormone(CRH)は、視床下部以外に大脳皮質、自律神経系、消化管、胎盤等で広く合成され、血中を介して下垂体-副腎皮質系機能を調節するホルモン、あるいは血液を必ずしも介さずその分泌局所で周囲細胞の機能を調節し、持って生体が広範なストレスに適応するためのキーファクターとして作用するものと考えられている。本研究はこの広範な作用を担うCRHに対応すベきCRH受容体を明らかに発現していることで知られるほとんど唯一のcell lineであるマウス下垂体細胞株AtT20上の各種受容体の検出法につき、予備的検討を加えた。すなわちこれまでAtT20細胞は多種のニューロペプチド、ホルモン等の影響を受け副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)あるいはエンドルフィンなどの合成・分泌が調節されることが既に明らかになっているが、最近、我々を含むいくつかのグループによりサイトカインの中にもAtT20細胞機能に直接影響を及ぼすものがあることが見い出されている。従って今回本研究につながる一つのステップとして未だ明かにされていないAtT20細胞上のサイトカイン受容体の検出を試みた。先ず^<125>Iで標識したインターロイキン1(IL1)を用い、AtT20細胞との結合実験から細胞当たり約480個のIL1結合部位を検出し、その性格からこの結合部位はKd約93pMのaffinityを持つIL1受容体と考えられた。次いで、同じく我々がAtT20細胞を含む下垂体に直接作用を有することを見い出した腫瘍壊死因子α(TNFα)の受容体についても同様の方法で検討を加え、その存在を明かにした。それと共にTNFα受容体の前駆体をコードする遺伝子のAtT細胞内における発現を始めて明かにすることができた。これらの実験の遂行と平行して我々の手で新しく作成した1-biotin-CRHを用い、そのAtT20細胞上の結合部位を検討したが上記サイトカインの受容体検出に用いた方法論は細部の実験条件の諸検討にも関わらずCRH受容体を検出し得るには至らなかった。今後これまで報告されているCRH受容体の性格(G蛋白結合型受容体との共通性)を手がかりにするなど今回の検討とは異なったアプローチが試みられるベきものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiromasa Kobayashi: "Regulation of interleukiu-1 receptors on AtT-20 mousepituitary tumor cells" FEBS Letters. 298. 100-104 (1992)
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[Publications] 深田 順一: "Annual Review 内分泌、代謝1993" 中外医学社, 284 (1993)